...常の釣には暮色に促されて竿を収め、日の短きを恨みて、眷々(けんけん)の情に堪えざるを、今日のみは、これより夜を徹せん覚悟なれば、悠々として帰心の清興を乱す無く、殊に愈本時刻に入るを喜ぶは、夜行して暁天に近づくを喜ぶに同じく、得意の興趣、水上に投射せる己が影の長きより長し...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...之を釣る興趣(きょうしゅ)にあり...
石井研堂 「研堂釣規」
...『八犬伝』の興趣は穂北(ほきた)の四犬士の邂逅(かいこう)...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...そのあらゆる解き方を探求してごらんになるのが興趣深いことでせう...
佐野昌一 「虫喰ひ算大會」
...おもしろいじゃないか」私達はそんなことにも旅先らしい興趣をおぼえながら...
大鹿卓 「金山※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28]話」
...その一つに文學的興趣のゆたかなものがある...
武田祐吉 「古事記」
...一刻増しに興趣を失っていったのであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...終って此興趣(きょうしゅ)多い一日の記念に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...過去の呟(つぶや)きであるが故に愁(うれい)あるものこれを聞けばかえって無限の興趣と感慨とを催す事あたかも商女不レ知亡国恨...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...特種の情調なき都會の興趣に乏しきは恰も品性なき人物と面接するに同じである...
永井荷風 「十年振」
...しかし私の好んで日和下駄を曳摺る東京市中の廃址(はいし)は唯私一個人にのみ興趣を催させるばかりで容易にその特徴を説明することの出来ない平凡な景色である...
永井荷風 「日和下駄」
...夜になって此方は真暗な路地裏から表通の燈火を見るが如きはいわずともまた別様(べつよう)の興趣がある...
永井荷風 「日和下駄」
...謂はば実質内部の興趣の発展によつて生ずるものであり...
中原中也 「芸術論覚え書」
...我々は局外者に向って興趣(きょうしゅ)ある一種の結論を提供する事が出来る...
夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
...どんなにエキゾチックな興趣(おもむき)を教えこんだであろう...
長谷川時雨 「西洋の唐茄子」
...専らここの卵塔場をば興趣深いものにおぼえてゐる...
正岡容 「山の手歳事記」
...老人でなければ興趣の薄らぐ種類にちがいないが...
横光利一 「夜の靴」
...それと似た興趣で...
吉川英治 「折々の記」
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