...が、あの辺は家々の庭背戸が相応に広く、板塀、裏木戸、生垣の幾曲り、で、根岸の里の雪の卯(う)の花、水の紫陽花(あじさい)の風情はないが、木瓜(ぼけ)、山吹の覗かれる窪地の屋敷町で、そのどこからも、駿河台(するがだい)の濃い樹立の下に、和仏英女学校というのの壁の色が、凩(こがらし)の吹く日も、暖かそうに霞んで見えて、裏表、露地の処々(ところどころ)から、三崎座の女芝居の景気幟(のぼり)が、茜(あかね)、浅黄(あさぎ)、青く、白く、また曇ったり、濁ったり、その日の天気、時々の空の色に、ひらひらと風次第に靡(なび)くが見えたし、場処によると――あすこがもう水道橋――三崎稲荷(いなり)の朱の鳥居が、物干場の草原だの、浅蜊(あさり)、蜆(しじみ)の貝殻の棄てたも交る、空地を通して、その名の岬に立ったように、土手の松に並んで見通された...
泉鏡花 「薄紅梅」
...浅黄の天鵝絨(びろうど)に似た西洋花の大輪(おおりん)があったが...
泉鏡花 「婦系図」
...浅黄幕を切つて落すと...
江見水蔭 「硯友社と文士劇」
...秋の空浅黄(あさぎ)に澄めり杉に斧(おの)これも同じ心の耽(ふけ)りを他(ほか)の言葉で云い現したものである...
夏目漱石 「思い出す事など」
...浅黄裏じゃありませんね...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「こいつは誰のものなんだ」浅黄色の絹をくけた腰紐...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...襟裏(えりうら)も水浅黄(みずあさぎ)でしたってね...
長谷川時雨 「市川九女八」
...浅黄ちりめんの兵児帯(へこおび)をしめて...
長谷川時雨 「源泉小学校」
...水浅黄(みずあさぎ)ちりめんの扱帯(しごき)を前にたらして...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...高座の後ろ一面の浅黄幕...
正岡容 「小説 圓朝」
...ちょんと浅黄を振り落とす...
正岡容 「小説 圓朝」
...浅黄(あさぎ)のもうか木綿の裏ついたる袷(あわせ)と白紺の弁慶の縞の太さ一寸八分なる単衣(ひとえ)とを重ね...
三木竹二 「いがみの権太」
...勤番の浅黄裏(あさぎうら)もぼつぼつ通る...
吉川英治 「江戸三国志」
...……二本差の浅黄裏(あさぎうら)だよ」舌打ちをして...
吉川英治 「江戸三国志」
...黄昏(たそが)れのころよりは澄明な浅黄いろに澄んでいて...
吉川英治 「親鸞」
...同じ白と浅黄の死装束が...
吉川英治 「べんがら炬燵」
...牡丹(ぼたん)を焚(た)く一浅黄無地の着物に...
吉川英治 「宮本武蔵」
...あっさりと浅黄木綿を着ている彼女のほうが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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