...樟の木の枝や葉に遮られた向うを目の上に手をやって眺めはじめる...
芥川龍之介 「誘惑」
...樟の木の根もとに気を失った「さん・せばすちあん」を見おろしている...
芥川龍之介 「誘惑」
...小春日(こはるび)と戯(たはむ)れる樟(くす)の木のそよぎは椎の木の知らない気軽さであらう...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...樟腦をいれてしまつてゐたのですが...
太宰治 「陰火」
...樟の老樹の若葉が美しかつた...
種田山頭火 「旅日記」
...たくさんの樟脳(しょうのう)や修道院にいくらもある各種の香料などをふりかけて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...本棚の蠧(しみ)を防ぐ樟脳(しょうのう)の目にしむ如き匂(にお)いは久しくこの座敷に来なかったわたしの怠慢を詰責(きっせき)するもののように思われた...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...粟田(あはた)御所の塀外に蛟龍の如く根を張つてゐる彼の驚くべき樟の大木は十年前に見た時と變りがなかつた...
永井荷風 「十年振」
...同区弓町(ゆみちょう)の大樟(おおくすのき)...
永井荷風 「日和下駄」
...鋭い樟脳の匂ひと共に...
永井荷風 「虫干」
...過ぎしころは夜ごとに梟の鳴きつときけばふくろふの宵々なきし榧の樹のうつろもさやに照る月夜かもおなじく庭のうちなる樟の木の葉のきら/\とかゞやきたるを主の女の刀自のいとうつくしきものと稱ふれば我が刀自にかはりてよみける秋の夜の月夜の照れば樟の木のしげき諸葉に黄金かゞやく一日小雨...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...他は椎(しい)や樟(くす)の葉に覆われた寂しい村落である...
中村地平 「南方郵信」
...二百余間もある河はばを越えて対岸を眺めると、樟や、杉などの南方植物につつまれた家々の屋根がまぶしい陽のなかにきらめいて、その奥遥か遠くに双石(ぼろいし)の連山がくっきりと連っている...
中村地平 「宮崎の町」
...樟腦(カンフル)と焚いた香醋の臭(にほ)ひが警告するやうに私の鼻を衝(つ)いた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夫人の子供たちは黄樟(ササフラス)の樹皮を捜しにこの藪を念入りに調べまわる習慣だった...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...」欄外に森枳園(きゑん)の樟の大木の考証がある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...樟板(くすいた)の秘図まで彼女にシテやられたのです...
吉川英治 「江戸三国志」
...樟脳を湯にたてて服用する...
吉川英治 「河豚」
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