...まして、畑と云ふ畑は、麻でも黍でも、皆、土いきれにぐつたりと頭をさげて、何一つ、青いなりに、萎(しほ)れてゐないものはない...
芥川龍之介 「酒虫」
...やはり、私の桃太郎は、小さい時から泣蟲で、からだが弱くて、はにかみ屋で、さつぱり駄目な男だつたのだが、人の心情を破壞し、永遠の絶望と戰慄と怨嗟の地獄にたたき込む惡辣無類にして醜怪の妖鬼たちに接して、われ非力なりと雖もいまは默視し得ずと敢然立つて、黍團子を腰に、かの妖鬼たちの巣窟に向つて發足する、とでもいふやうな事になりさうである...
太宰治 「お伽草紙」
...傍の笊にあった黍(きび)の餅を二つばかり持って出て往った...
田中貢太郎 「妖怪記」
...道端には處々に赤く立枯れになつた黍の畑が...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...玉蜀黍(とうもろこし)の毛を束(つか)ねて結ったようなる島田を大童(おおわらわ)に振り乱し...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...鶸(ひわ)には黍(きび)があり...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...而シテ土人ヨリ分与受ケタル玉蜀黍(たうもろこし)ノミガ成功シ...
中里介山 「大菩薩峠」
...其(その)高(たか)い蜀黍(もろこし)の幹(みき)をぐつと曲(まげ)ては穗首(ほくび)に近(ちか)く斜(なゝめ)に伐(き)つた...
長塚節 「土」
...蜀黍畑お背戸の 親なしはね釣瓶海山(うみやま)千里に風が吹く蜀黍(もろこし)畑も日が暮れた鶏 さがしに往かないか...
野口雨情 「十五夜お月さん」
...延びあがり延びあがりたる玉蜀黍は儚なや実が一ツこゝまでたどりつきたる二十五の女の心は真実男はゐらぬものそは悲しくむつかしき玩具ゆゑ真実世帯に疲れる時生きやうか死なうかさても侘しきあきらめかや真実友はなつかしけれど一人一人の心故――黍の葉のみんな気ぜはしいやけなそぶりよ二十五の女心は一切を捨て走りたき思ひなり片瞳をつむり片瞳を開らきあゝ術もなし男も欲しや旅もなつかし...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...九太の住居は蜀黍畑に囲まれた畑の中にあった...
林芙美子 「帯広まで」
...つゆ晴の海のやうなる玉川や酒屋の旗や黍(もろこし)の風之は決して写生の歌ではない...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...玉蜀黍(たうもろこし)や胡瓜や大角豆などをいろいろな形にして集めたりして...
正宗白鳥 「月を見ながら」
...玉蜀黍(きみ)の脱穀(だっこく)をしてるんだ...
宮沢賢治 「耕耘部の時計」
...豚の骨や吐き出された砂糖黍の噛み粕(かす)の中から瓦斯燈(ガスとう)が傾いて立っていた...
横光利一 「上海」
...砂糖黍の間をすり抜けて...
横光利一 「上海」
...玉蜀黍と云ふ順位で...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...玉蜀黍(とうもろこし)の毛のように...
吉川英治 「三国志」
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