...で、遠慮したか、葭戸の開いた敷居越に、撓(しな)うような膝を支(つ)いて、框の隅の柱を楯に、少し前屈みに身を寄せる、と繻子(しゅす)の帯がキクと鳴る、心の通う音である...
泉鏡花 「浮舟」
...ために傘を遠慮した茶屋の女房なぞとは...
泉鏡花 「薄紅梅」
...純白のかつぎに不淨を遠慮した婦人どもであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ちょっと遠慮したんです...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...」私はいやらしく遠慮した...
太宰治 「津軽」
...遠慮した方がいいと思ったのに...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...他の乗客の窮屈さに少しでも貢献することを遠慮したほうがよさそうにも思われる...
寺田寅彦 「蒸発皿」
...遠慮勝の彼女は親兄弟にも遠慮した...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...対等の人間ではないからと遠慮したのである...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...お旗本に同名の人があったからそれを遠慮したのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...妾(めかけ)のお萬に遠慮したんですね...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...三木は、それ等のことで、雪子の身辺に不幸な結婚談が起つてゐるのだらう――と想像したが、青木が、それについては決して積極的に語らうとしないので、三木も遠慮した...
牧野信一 「ダイアナの馬」
...私はそれを遠慮したわけぢやないんです...
牧野信一 「円卓子での話」
...と遠慮した口ぶりで云った...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...おれに遠慮したかと思っていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...こんなのは先ず遠慮した方が賢明である...
夢野久作 「創作人物の名前について」
...九州方面に特に音楽家崇拝者が多いために遠慮したものでないことを...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...それを遠慮した形で...
和辻哲郎 「藤村の個性」
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