...――これを云った謙斎は、しかし肝心な事を言いわすれた、あとで分ったが、誘うにも、同行を促すにも、なかまがこもごも声を掛けたのに、小按摩は、おくびほども口を利かない...
泉鏡花 「怨霊借用」
...珍しい魚料理にでも誘うみたいにどじょう屋へ連れて来たりしている...
高見順 「いやな感じ」
...観照寺で接待あるよつてに行こか云うて誘うたのはわいだつせ...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...熊本君を誘うのに反対の様子を示した...
太宰治 「乞食学生」
...」と私を誘う...
太宰治 「女神」
...ユーモアやアイロニーも皆こうした――カルキュレーション(計画)の上に立って対比を試みる処の――暴露性・批判性の故に笑いを誘うわけである...
戸坂潤 「思想としての文学」
...福沢先生は爵位を受けず板垣翁は華族一代論を称えし事さえあるに今の若きものにて猶斯の如き文言を書して宴席に人を誘うものあるかと思えば世の中は年と共におくれて行く様な気もする折から青空に飛行機虻の如くうなり泥濘の巷に普通選挙の声蛙の如く湧き出るを耳にす...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...親分」ガラッ八が誘うまま...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その窓のほうが今朝(けさ)も机よりも彼をいっそう誘うのだったけれども...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...猗頓(いとん)の富も誘うべからずして...
穂積陳重 「法窓夜話」
...再びしずかな夢に誘うようなメロディーにうつって二人の踊りては互の体を支え合いながら云いようない優しさにしずまります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一つが他を誘う雲霞のような進出...
百田宗治 「騒擾の上に」
...工藝への理解に読者を誘うためには...
柳宗悦 「工藝の道」
...反復はついに技術を完了の域に誘う...
柳宗悦 「民藝四十年」
...人の心を誘う水のように...
夢野久作 「暗黒公使」
...色即是空の思いを誘う...
吉川英治 「随筆 新平家」
...将門の口を誘うために訊ねたのかもしれない...
吉川英治 「平の将門」
...――理からいえば、こう誘う者は、こう来なくてはならぬはずという軍学――...
吉川英治 「宮本武蔵」
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