...幾星霜(いくせいそう)のおもむろな侵蝕(しんしょく)のあとをとどめている...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「ウェストミンスター寺院」
...この熱感はいつでも清逸に自分の肉体が病菌によって蝕(むしば)まれていきつつあるということを思い知らせた...
有島武郎 「星座」
...いずれも何世紀間かそこにあったことを思わせる程錆びて腐蝕していた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...蝕ある凄(すご)き日の光に...
泉鏡花 「婦系図」
...硝酸かアムモニアかのやうな腐蝕薬か...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...あの画は寛政の頃の良家の娘さんの風俗で夏の宵広い庭に降り立って涼を納(い)れて居ります時に「今夜は月蝕だわ……」とふと思い付いて最も見易いように鏡を持ち出して写し取っている所です...
上村松園 「寛政時代の娘納涼風俗」
...眼に見えず蝕(むしば)まれるやうに他人のものになつて行く...
武田麟太郎 「一の酉」
...緑平老に一句なるほど信濃の月が出てゐる月蝕旅の月夜のだんだん虧げゆくを伊那町にてこの水あの水の天龍となる水音権兵衛峠へながれがここでおちあふ音の山ざくら鳥居峠このみちいくねんの大栃芽吹く木曾の宿おちつけないふとんおもたく寝る帰居しみじみしづかな机の塵朝の土をもくもくもたげてもぐらもち大旱涸れて涸れきつて石ころごろごろ雨乞燃ゆる火の...
種田山頭火 「草木塔」
...その紙は日月の部分蝕(ぶぶんしょく)のような形にして...
寺田寅彦 「錯覚数題」
...四方への分岐、塹壕(ざんごう)の交差、枝の形、鴨足(かもあし)の形、坑道の中にあるような亀裂、盲腸、行き止まり、腐蝕した丸天井、臭い水たまり、四壁には湿疹(しっしん)のような滲出物(しんしゅつぶつ)、天井からたれる水滴、暗黒、実にバビロンの町の胃腸であり、洞窟(どうくつ)であり、墓穴であり、街路が穿(うが)たれている深淵(しんえん)であり、かつては華麗であった醜汚の中に、過去と称する盲目の巨大な土竜(もぐら)が彷徨(ほうこう)するのが暗黒の中に透かし見らるる、広大なる土竜(もぐら)の穴であって、その古い吐出口の墓窟のごとき恐ろしさに匹敵するものは何もない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...夏見俊太郎は病に蝕(むしば)まれ...
直木三十五 「ロボットとベッドの重量」
...藤原四代の栄華を誇る器具と調度と衣類――それも長い歳月に腐蝕して...
野村胡堂 「水中の宮殿」
...或はまた蝕まれ行く青春にか...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...それに伴って働いて行くところの浸蝕の結果を実証しているわけでもございます...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
...他の諸獣も日月蝕(しょく)を懼(おそ)るるを見るとさような事もありなん...
南方熊楠 「十二支考」
...かえって寄生木(やどりぎ)たる曹操(そうそう)のほうが次第に老いたる親木を蝕(く)い...
吉川英治 「三国志」
...武家の地頭に土地を蝕(く)われて...
吉川英治 「私本太平記」
...生命の充実を蝕(むしば)むか...
吉川英治 「親鸞」
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