...爺やには菜穂子の起きてくるまで私達の朝飯の用意をするのを待っているように云いつけておいて...
堀辰雄 「菜穂子」
...彼はそれと同じ影響が菜穂子から今までの快活な少女を急に抜け出させてしまった事には少しも気がつかなかった...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子は自分が結婚を誤たなかったと信じていられた...
堀辰雄 「菜穂子」
...……「あそこにいたのが患者さんたちなのかえ?」姑は菜穂子と廊下を歩き出しながら...
堀辰雄 「菜穂子」
...急に胸をときめかせながら菜穂子のいる三号室に近づいて行った...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子はその足音と木の葉をざわめかせている雨風の音とに代る代る耳を傾けていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...或はいつも自分がそれから顔をそらせずにはいられない菜穂子の空(うつ)けたような眼ざしに似て行くような気がしたり...
堀辰雄 「菜穂子」
...彼は母が菜穂子とときおり文通しているらしいのを知ってはいたが...
堀辰雄 「菜穂子」
...その療養所を四方から取囲んでいるすべての山も森も高原も単に菜穂子の孤独を深め...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子の病状を楯(たて)にして...
堀辰雄 「菜穂子」
...――それに菜穂子を連れ戻して来たって...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子はそう率直に反問されると...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子はしかし冬に近づく時分から...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子は、とうとう矢(や)も楯(たて)もたまらなくなって、オウヴア・シュウズを穿(は)いた儘(まま)、何度も他の患者や看護婦に見つかりそうになっては自分の病室に引き返したりしていたが、漸(や)っと誰にも見られずに露台づたいに療養所の裏口から抜け出した...
堀辰雄 「菜穂子」
...彼はその母が実はこの頃ひそかに菜穂子に手をさしのべていようなぞとは夢にも知らなかったのだ...
堀辰雄 「菜穂子」
...菜穂子がじっと空(くう)を見つめているらしいのが認められた...
堀辰雄 「楡の家」
...……それからこの夏私の来るまで此処(ここ)で一人で本ばかり読んで暮していたらしい菜穂子だって私にはあんなに手のつけようのない娘にしか思われないのに...
堀辰雄 「楡の家」
...再びそれを開けたときは、こんどは私はお前の顔の方へそれを向けながら、「……私はね、菜穂子、この頃になって漸と女ではなくなったのよ...
堀辰雄 「楡の家」
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