...東京(トンキン)から持つて来た罌粟(けし)の種子を死骸で肥えた墓地に植ゑて見ると思ひの外に成績がよくてその特徴を発揮させることが出来た...
芥川龍之介 「鴉片」
...「まことに、先生にはよう申訳がありまえんのやけれど……」長い演説調の雄弁で、形式的の申訳をした後、田中という中脊(ちゅうぜい)の、少し肥えた、色の白い男が祈祷(きとう)をする時のような眼色をして、さも同情を求めるように言った...
田山花袋 「蒲団」
...然し土地の生産力としては肥えたものであり...
中里介山 「武州喜多院」
...母親はよく肥えた柄の大きい婦人で...
林芙美子 「幸福の彼方」
...片っ方はずんぐり肥えた見るからに気の重くなるような赭熊(しゃぐま)の娘...
久生十蘭 「魔都」
...「まるで、旦那じゃな」気楽な居食いの生活で、箱の中の二人は、日ごとに、まるまると、肥えた...
火野葦平 「花と龍」
...何事ならんと頭を擡(もた)げて見れば前の肥えたる曹長にはあらで髯(ひげ)のむさくるしき一人の曹長が余ら一行の居場を縮めよと命ずるなり...
正岡子規 「従軍紀事」
...それでも女連の中で一人だってまだ肥えた者なんぞいねえヨ...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...ある肥えた・景色のよい・住む人もきわめて多い・一地方に上陸した...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...丸々と肥えた膝頭をついて...
矢田津世子 「女心拾遺」
...酒好きの肥えたこの老人は...
山本周五郎 「いさましい話」
...あのじじいのぶくぶく肥えたずう躰(たい)を見るだけで...
山本周五郎 「さぶ」
...女主人とみえる肥えた女と...
山本周五郎 「屏風はたたまれた」
...「肥えた丈夫そうな若君だ」と伊与二郎は帰って来て云った...
山本周五郎 「屏風はたたまれた」
...肥えた、背丈の低い、精悍(せいかん)な躯つきだし、眉の太い、眼や口の大きな顔にも、商人というには逞(たくま)しすぎる、重厚な、つらだましい、といったものが感じられた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...よく肥えた紳士が敷島を一本口に喰わえ...
横光利一 「旅愁」
...隣の肥えた白い猫は木の根に眠つたまま死ぬやらん...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...肥えたわりに背の低い胴長な体に...
吉川英治 「新書太閤記」
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