...翳(かざ)している雨の番傘をばさりと半分に切って...
泉鏡花 「遺稿」
...藍地の絹張り蝙蝠傘をさし翳して...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...うすぐろい翳(かげ)のようにぼんやりとうごいているのでした...
梅崎春生 「Sの背中」
...そこまで考えると何かしら彼女の身辺にも暗い翳があるように思われる...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「情鬼」
...振り向くとこれだぞ!」ナイフを振り翳して見せた...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鳩つかひ」
...武江年表には「十二月細雨時時降る、夜に至りて雨なく天色朦朧たりしが、亥の二点大地俄に震ふこと甚しく須臾にして大厦高牆を顛倒し倉廩を破壊せしめ、剰さへその頽れたる家家より火起り熾に燃えあがりて、黒煙天を翳め、多くの家屋資財を焼却せり」と言って、地震と共に二十四箇所から火が起って惨害をほしいままにしたことを書いてある...
田中貢太郎 「日本天変地異記」
...白い中に微かな翳(かげ)りがある...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
......
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...何という崇高さだったろう! 下の方は氷河の陰翳(いんえい)の如く...
中島敦 「光と風と夢」
...その時は」濃い死の翳(かげ)が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それらはみな一種形容し難い沈滞と疲労の翳を見せ...
久生十蘭 「魔都」
...紫紺に金糸銀糸(きんしぎんし)もて七艸(そう)を縫った舞衣(まいぎぬ)を投げかけ金扇(きんせん)を翳(かざ)して現われました...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...道は川に沿ひ、翳り易い日向に、鶺鴒(せきれい)が淡い黄色を流して飛ぶ...
三好達治 「測量船」
...翳だけがささへてゐるあなたの重量からゆめの耳もみえない疲れのやうに羞んでよりそへば傷ついてゐる言葉たちどもつて吃つてわたしはじぶんの位置をかんがへる...
森川義信 「残像」
...もう幾十回となく手がけたこの寺院の陰翳を微笑のまま見上げていた...
横光利一 「旅愁」
...新九郎が翳(かざ)しかけてくれた傘に身を入れて...
吉川英治 「剣難女難」
...むずかしいのは」独り呟いているかのような硬めた眉の翳(かげ)だった...
吉川英治 「私本太平記」
...七短檠(たんけい)の灯が翳(くら)くなる……丁字(ちょうじ)を剪(き)る...
吉川英治 「宮本武蔵」
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