...一つは、永(なが)の航海で、無聊(ぶれう)に苦んでゐたと云ふ事もあるのですが、当の砲術長はもとより、私たち総出で、事業服のまま、下は機関室から上は砲塔まで、さがして歩く――一通りの混雑ではありません...
芥川龍之介 「猿」
...町中総出で、夜中にエイヤエイヤと懸声をかけもしてな」「どんな意味があるんだね?」老若男女が綱をにぎって、エイヤエイヤと引っぱり合う...
梅崎春生 「幻化」
...君は行き倒れ人として一旦(いったん)アパートへ引取られそれから親類総出でお葬式を営まれたのだ...
海野十三 「火葬国風景」
...叔父の一家は総出でお葬式の手伝いに出かけてゆくだろうから...
海野十三 「仲々死なぬ彼奴」
...村中総出で泥棒狩をやるというので...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...大堂津あたりでは全町総出で綱引をやる...
種田山頭火 「行乞記」
...一昨日(おとつい)は、一字の男総出で、隣村の北沢から切組(きりくみ)舞台(ぶたい)を荷車で挽いて来た...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...近所組合の人も総出で騒いだが...
中里介山 「大菩薩峠」
...仮りにこの「清姫の帯」を、お豊でないほかの村の人が見たことならば、それこそ大騒ぎで、さきの修験者が小半時も村の方を見下ろしていた時分に、ほとんど総出で、この社へつめかけて来ねばならぬはずのところを、今まで来ないくらいだから、誰も見た者はないにきまっています...
中里介山 「大菩薩峠」
...家中総出で警戒していたにもかかわらず...
中里介山 「大菩薩峠」
...村人が総出で、ただいま、勿来の古関のあとへ、雲突くばかりの怪盗が現われて、若い娘を脅(おどか)して、その後生大事な髪飾りを強奪した、そういう奴を許してはおけない、ということで、それが勿来の関に向って押しかけて来るところへ、白雲が、この被害品を小腋(こわき)にして、悠々(ゆうゆう)として下りて来たから、血気盛んな村の者が、かえって出鼻をくじかれているのを、「怪しいものじゃありませんよ、君たち、拙者は絵師です、旅の絵かきでござる、安心しなさい」と、まず安心させておいてから、白雲は、「野州足利(あしかが)の田山白雲という絵かきが拙者です、君たちの心配する目的物はこれだろう」と言って、例の香箱を目先に突きつけ、「は、は、は、娘さんが少々、狼狽(ろうばい)したのだ、よく、あらためて、当人に返しておやりなさい」村人は、突きつけられた香箱を前にして、目をパチクリやっているが、この男が、自分たちの予期した悪漢ではない、ということだけの合点(がてん)は行ったらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...江戸中の岡っ引が総出で捜してもわかるものかと――せせら笑っていました」「あの野郎は樽拾いの小僧を殺している...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それら公家衆が総出で行なう儀式とても...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...ロンドンにいらっしゃる日本の奥様が総出で着物を着せて下さいました...
三浦環 「お蝶夫人」
...先生は一家総出で奥さんも共稼ぎ...
山本笑月 「明治世相百話」
...村中総出でそこいらの沿道を探しまわったが...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...玲珠膏(れいじゅこう)の井口与次右衛門もつつがないか」「総出で奮戦しておりまする」「そうか...
吉川英治 「黒田如水」
...このたびは店の者どもも総出でこちらに出向いておりまする」「来たらなぜ筑前の所へも...
吉川英治 「新書太閤記」
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