...雲片一つだに見えぬ大空、風、岩燕の声、血を新たにするような松脂の香、黄金の花粉、もつれ合って咲いている石楠花(しゃくなげ)の白くつめたい花弁、すぐ向うの黒い岩塊、風に乗って来る渓谷の水音、どこかで岩の崩れ落ちる音、下で湯をわかしているらしい焚火の煙、……これ等のすべてがいつの間にか見えなくなり聞えなくなり、私は帽子を顔にのせたまま、世にも美しいユートピアの眠りに落ちるのである...
石川欣一 「可愛い山」
...指の先に花粉を取つて来て...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...陸はモロー彗星につきあたられると粉々に飛散ってしまうし...
海野十三 「火星兵団」
...頭から足の先まで白粉(おしろい)で塗りつぶした様に真白だ...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...そうしてまだ粉飾や媚態(びたい)によって自然を隠蔽(いんぺい)しない生地(きじ)の相貌(そうぼう)の収集され展観されている場所にしくものはないようである...
寺田寅彦 「自由画稿」
...家々の礎(いしずえ)までも今は残らず粉である...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...青黒い白粉燒けのした素顏で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...黄色い捏粉がセピア色になってふくふくと膨れあがった...
久生十蘭 「だいこん」
...それでも仔細に見ると多少の粉が篩い落されるかも知れないと云うのだ...
本庄陸男 「とも喰い」
...西京辺の白粉多く塗れる女等にしばしば例あり...
南方熊楠 「十二支考」
...何となれば焼粉は酒石英(しゅせきえい)だの曹達(そうだ)だのと薬品が交っているから小児の胃に堪えられない...
村井弦斎 「食道楽」
...生田川のさざ波に銀の粉を振り撒(ま)いたような日の光が映(うつ)った時分...
室生犀星 「姫たちばな」
...また粉にして貯えて凶作の備えともする...
柳田國男 「食料名彙」
...きな粉・炒粉(いりこ)のように火にかけたものもまた砕(くだ)けやすい...
柳田国男 「木綿以前の事」
...礼儀作法なぞで粉飾してある人間の皮を一枚剥(め)くると...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...頭の毛の火の粉(こ)をはらっておどりだした...
吉川英治 「神州天馬侠」
...白粉(おしろい)痩せは...
吉川英治 「新・水滸伝」
...あきらかに淫(みだ)らな紅(べに)や白粉(おしろい)の疲れを見せているのだった...
吉川英治 「新・水滸伝」
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