...人間は空しく真理を探求するに過ぎない...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...薄紗の帳白く垂れて輕く窓の板玻璃を打つ景を詩人が見て、之(これ)はどうしても帳中に伉儷(かうれい)の契淺からぬ相思の人の床が無ければならぬと「こよなきあそび」即(すなわ)ち藝術の方面から推察するところ、實は之が空しく、そこに何も無いと知つて、宛(あたか)も冒涜(ぼうとく)の感を起すといふのが、初、二節の意である...
ステファンヌ・マラルメ Stephane Mallarme 上田敏訳 「薄紗の帳」
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立原道造 「暁と夕の詩」
...この妹がいつかはこう云う装いを凝らして嫁に行く光景を見たいと願っていたことも空しくなって...
谷崎潤一郎 「細雪」
...石は覘へる敵將を 735はづしたれども空しくは地上に落ちず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...わたしはどうかしてこの野卑蕪雑(ぶざつ)なデアルの文体を排棄(はいき)しようと思いながら多年の陋習(ろうしゅう)遂に改むるによしなく空しく紅葉(こうよう)一葉(いちよう)の如き文才なきを歎(たん)じている次第であるノデアル...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...わたくし達一同の視線は唯前栽の中に咲いている箱根ウツギと池の彼方に一本生残っている老松の梢に空しく注がれるばかりであった...
永井荷風 「百花園」
...空しく行李(こうり)の中でねている...
中谷宇吉郎 「九谷焼」
...空(むな)しき名を空しく世間に謳(うた)わるるがため...
夏目漱石 「野分」
...空しくなびくも淋しかりき...
樋口一葉 「うつせみ」
...男はもう一度空しく女の名を呼んだ...
堀辰雄 「曠野」
...彼が近所の寺の境内を一巡して空しく戻つて来る験しはなかつた...
牧野信一 「魚籃坂にて」
...空しく鐵幹に先鞭を着けられたるを恨む...
正岡子規 「東西南北序」
...門のべに立ちいでて白き路をながめ空しく人かげを見おくる...
室生犀星 「忘春詩集」
...なすこともなく空しく老いて行くのか……と...
吉川英治 「三国志」
...しかも水は急なり、順風は帆を扶けて、たちまち、相距(あいへだ)つこと二十余里、空しく魏船は、それを見送ってしまった...
吉川英治 「三国志」
...空しく大兵大船をとどめて何をしているぞとのお叱りです...
吉川英治 「三国志」
...はやく空しく帰ってくれればよいが』朝飯も食べずに...
吉川英治 「死んだ千鳥」
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