...背負上(しょいあ)げの緋縮緬(ひぢりめん)こそ脇(わき)あけを漏(も)る雪の膚(はだ)に稲妻(いなづま)のごとく閃(ひらめ)いたれ...
泉鏡花 「縁結び」
...もう夕方で黄ろな夕陽が路傍に見える水田の稲の刈株に顫えついていた...
田中貢太郎 「雁」
...鈍く稲妻がひらめくたびにやはり震えるように見える遠い家々の黄いろっぽい正面やを...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...横町の稲荷(いなり)の鄰に何庵とかいふ蕎麦屋(そばや)の二階より口をかけて小しまを呼べば...
永井荷風 「桑中喜語」
...場内に稲麻竹葦(とうまちくい)と集まった群集をながめていたりして...
中里介山 「大菩薩峠」
...稲は春に仕立て夏に育ち秋に取入れる...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...稲はその百二十日という日数を何によって知るかが問題の焦点である...
中谷宇吉郎 「稲の一日」
...無論ヘーゲル程神秘の雲(くも)のうちに隠れて弁証の稲妻を双手に弄する人ではなかつた...
夏目漱石 「点頭録」
...梯子段が嶮しい山へ登る径のやうにミヅグルマの背後を縫つて稲妻型に折れ曲つてゐるのだ...
牧野信一 「沼辺より」
...杜若であるアオノクマタケランサテ、杜若をカキツバタでは無いと一蹴した我邦の諸学者、それは稲生若水、小野蘭山等を始めとして今日誰れでも皆燕子花をカキツバタだと称え納まり込んで涼しい顔をしているが、私はこれらの人達の何の苦も無い様なオ顔を拝見すると思わずハハハハハハと笑いたくなる...
牧野富太郎 「植物記」
...東北地方では苗代の跡へは稲を作らないで一夏全く遊ばせてあるのが幾らも目につくが...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...私や稲公は作家の埒から夙(つと)にはずれているようなものです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...稲田に踏み込むのはよして...
三好十郎 「斬られの仙太」
...政吉は日本橋通二丁目稲田佐兵衛の分家にて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...築地の稲葉家の屋敷の咳の爺婆は...
柳田國男 「日本の伝説」
...七十郎は畦道に立っている稲架(いねかけ)から...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...」稲の中に鳥が巣を作ると家運の興隆するきっかけを意味して...
横光利一 「夜の靴」
...威をほしいままにした斎藤義龍の稲葉山の城も...
吉川英治 「茶漬三略」
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