...その赤兄公が王様に、私は王様の処へ往きたいが、体が大きくて川の口が出られませんと云うと、王様は、それは承知で、お前を此処へおいてあるが、この比(ごろ)聞くと、村の人達が、湖(うみ)の泥をあげて田を作ろうとすると、お前が亀に云いつけて、その人を喫い殺さすそうじゃ、不都合じゃ、その罰に毒蛇に云いつけて、鱗の中へ鉄虱をわかして苦しめてやると云うと、赤兄公は、それは違うております、村の人達が湖の泥を採ると、泥の中に住んでおる鼈(すっぽん)が、子や孫を殺されますから、困って村の人を威して、泥を採ることを止めさせようとすると、村の人は泳ぎが下手でございますから、溺れて死にますと云うと、王様は鼈を呼び出して、赤兄公が云うことが真実(ほんとう)かと聞いた、鼈はそのとおりでございますが、困ったことには、村の人が亀が人をとるからには、亀を退治しなくてはならんと云うております、もし私達が逃げますと、亀と蛇とはいっしょだからと云うて、城址の桑の木に住んでおる蛇を焚(や)き殺します、それを、もう、蛇が知って、毎晩泣いております、どうか蛇も殺されず、私達の子や孫も殺されないようにしてくだされ、と云うと、王様が、それでは村の人達に云いつけて、湖(うみ)の中の島へ亀の宮をこしらえさして、その下へ亀の一族を住わすことにしたらよかろう、それには、今日鮒になった男を、元の人間にして、村の人に云わさすがええと云うて、王様は帰(い)んでしもうた、鮒になった男は、どうして元の人間になろうかと云うと、漁師の垂れた鉤(つりばり)に釣られるか、網に採られるかして、人間に料理してもらえば、元の人間になれると教えてくれたから、鉤を探したが、漁師が来んから鉤がない、それなら網に採られようと思うても、網を打つ者がない、そのうちに村の人たちは、亀を祭るなら、亀が人を採らんようになるじゃろうと云うて、島の中へ亀の宮を建ててしもうた、鮒になっておった人は、早く人に採られよう、採られようと思うておるうちに、やっと金沢あたりから遊びに来た人が、網を打ったが、一人の網を打った人は上手で、前へ網を投げたから入れなかったが、一人の人は下手で、網がからみあって舟の下へ落ちたから、その網にかかってあがって、頭を切りはなして料理をしてもらうと、人間になって、元寝ていた舟の中で眼がさめたが、もう亀の宮が出来ておったから、そのことを人に話しても、何人(だれ)もほんとうにするものがなかったと云うよ」松の浮根に乗っている小供の話はそれで終った...
田中貢太郎 「放生津物語」
...神体を祭る白木の厨子が安置してある...
豊島与志雄 「台湾の姿態」
...稲荷さんを祭るには...
豊島与志雄 「霊感」
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内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...或いはまた特に海を祭る神への供えか...
中里介山 「大菩薩峠」
...洞海湾(どうかいわん)で殉難した死者を祭る年中行事である...
火野葦平 「花と龍」
...我(わが)昔の家に近かりし処に禅宗寺ありけるが星を祭るとて燭(しょく)あまたともし大般若(だいはんにゃ)の転読とかをなす...
正岡子規 「墨汁一滴」
...後ここに祭ると)...
南方熊楠 「十二支考」
...ハワイやタヒチ等の浜辺に鮫を祭る社あって毎度鮫来り餌を受け甚だしきは祠官を負うて二十浬(かいり)も游ぎし事エリスの『多島海研究(ポリネシアン・レサーチス)』四...
南方熊楠 「十二支考」
...インドでハヌマン猴神よく邪視を防ぐとて祭る事も...
南方熊楠 「十二支考」
...祭るに在(いま)すが如くすと云う論語の句が頭に浮ぶ...
森鴎外 「かのように」
...そうして一方には神社の祭る神の名を...
柳田国男 「年中行事覚書」
...稲荷(いなり)の社を初午に祭るのも...
柳田国男 「年中行事覚書」
...九一 大黒様の嫁迎え同じく師走の九日に大黒様を祭る風習があるか...
柳田国男 「年中行事覚書」
...部落が集まつて共に祭る神を...
柳田國男 「祭のさまざま」
...常典によってこれを祭ることになっていまして...
柳田国男 「山の人生」
...その土を祭るものじゃそうな...
吉川英治 「江戸三国志」
...火神(ひのかみ)を祭ると...
吉川英治 「新書太閤記」
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