...舷までひたひたと水に埋もれながらもとにかく船は真向きになって水の面に浮かび出た...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...真向から雪が吹きつけて...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...道をへだてた真向うのT館から...
高見順 「如何なる星の下に」
...よせ! すぐ真向いの飲食店へさっさとはいった...
太宰治 「狂言の神」
...悪魔の眼を真向から直視したまえ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...扉ののぞき穴から真向いの薄暗い壁の上に投げられるほの白い四角な明るみが...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...これは肉づきのよい面にポッと紅を潮(さ)して澄み渡った眼に竜之助の白く光る眠を真向うに見合せて...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...真向きに太陽の光を浴びて本を読んでいる...
中里介山 「大菩薩峠」
...聴きおわりたる横顔をまた真向(まむこう)に反(か)えして石段の下を鋭どき眼にて窺(うかが)う...
夏目漱石 「薤露行」
...それが真向(まとも)に双方を了解できる聡明(そうめい)な彼の頭を曇らせる原因になった...
夏目漱石 「明暗」
...受話機を握つたまゝ横を向くと真向きの壁に懸つてゐるビールの広告鏡に全身が映つてゐるのに気づいた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...こゝらで一歩違へば立所に道子は剣のやうな冷笑を真向から浴びせることは解つてゐる...
牧野信一 「爪」
...こういう真向きの暖いものもある筈です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...……あのゴンクールの銃先(つつさき)を真向(まとも)に見ながら...
夢野久作 「暗黒公使」
...小半町ほど後(あと)から真向きに飛んで来る金吾の姿を見かけて...
吉川英治 「江戸三国志」
...そのお眸を真向きに直した...
吉川英治 「私本太平記」
...それへあなたは真向(まっこう)にぶつかって行った...
吉川英治 「親鸞」
...毒をもって毒を制するため――宝蔵番には真向きな人物として...
吉川英治 「宮本武蔵」
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