...或時は故郷を忍ぶたつきありと物静かなる郊外に住みつる事もありき...
石川啄木 「閑天地」
...――その夫婦はまことに物静かな夫婦でした...
犬養健 「亜剌比亜人エルアフイ」
...物静かな足どりをはこんでゆく紳士がある...
海野十三 「国際殺人団の崩壊」
...最後のお話をいたしましょう」帆村は物静かな調子で云った...
海野十三 「爬虫館事件」
...あの、笹島(ささじま)先生がこの家へあらわれる迄(まで)はそれでも、奥さまの交際は、ご主人の御親戚とか奥さまの身内とかいうお方たちに限られ、ご主人が南洋の島においでになった後でも、生活のほうは、奥さまのお里から充分の仕送りもあって、わりに気楽で、物静かな、謂(い)わばお上品なくらしでございましたのに、あの、笹島先生などが見えるようになってから、滅茶苦茶になりました...
太宰治 「饗応夫人」
...遠くの方で物静かな蛙(かえる)の鳴き声さえ聞えていたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...しっとりして物静かなところがあの女の好いところであるが……たとい折よく昨夜の出先きから今朝(けさ)もう家に戻(もど)ってきていたにしても...
近松秋江 「黒髪」
...これはこの会場にふさわしくないほど、物静かな、しんみりとした気持のいい絵であると思った...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...あの物静かな唱歌はもう聞かれなくなって...
寺田寅彦 「写生紀行」
...兄さんは物静かな座敷から...
夏目漱石 「行人」
...物腰は女みてえで妙に物静かなくせ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...物静かな山辺温泉...
別所梅之助 「雪の武石峠」
...告白に誘う物静かな気持の時に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...フランスふうのフロックコオトを着た例の小柄な物静かな支配人に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...霞が深く掛った姿はまだはっきり覚えて居るほど新らしい時に見た事はないが秋霧の何とも云えない物静かな姿は霞の美くしさに劣るまい...
宮本百合子 「秋霧」
...それを再び物静かな...
柳田国男 「木綿以前の事」
...一種特別なみいらに似た物静かな構えだった...
横光利一 「旅愁」
...叡智で物静かな人品である...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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