...黒ぐろと澱(よど)んだ掘割りの水へ枝を垂らしているばかりだった...
芥川龍之介 「彼 第二」
...言いようのない物足らなさが胸の奥底に濃く澱(よど)むのをどうすることもできなかった...
有島武郎 「星座」
...煉羊羹(ねりようかん)の濃(こまや)かに澱(よど)んだ色彩ばかりが...
江戸川乱歩 「火星の運河」
...またたとえ据付けたところで多年にわたって河底に沈澱した鉱毒は容易に消滅しないばかりか...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...その先になると速度が非常に緩やかにほとんど流れていないのかと思うほどに澱(よど)んでいるところがあり...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...すぐそこの谷水が一坪ばかりの処に澱(よど)んで...
田中貢太郎 「岩魚の怪」
...底になにが沈澱していることだろう?――すると...
谷譲次 「踊る地平線」
...澱(よど)んだ空気が発酵して...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...この色彩は画面を洗ひし水桶(みずおけ)の底に沈澱(ちんでん)したる絵具を以て塗りたる色の如くむしろ色と呼ばんよりは色なる感念(かんねん)を誘起せしむる色づきし雲の影とやいはん...
永井荷風 「江戸芸術論」
...さもなければ怜悧(りこう)な鮭(さけ)が澱(よど)みに隱(かく)れて動(うご)かぬ白晝(ひる)の間(あひだ)のみぐつたりと疲(つか)れた身體(からだ)に僅(わづか)に一睡(すい)を偸(ぬす)むに過(す)ぎないので...
長塚節 「土」
...澱粉だけでは身体がもたないから...
中谷宇吉郎 「稲の一日」
...澱粉の方はずっと少くてもよい...
中谷宇吉郎 「北国の春」
...その晩は京都地方に特有のむしあつい晩で湿度の多い空気はおりのように重く沈澱して樹の葉一つ動きません...
平林初之輔 「祭の夜」
...澱(よど)んだような穏やかな空の日足が...
松本泰 「謎の街」
...トドリ麦を磨(と)いだ磨ぎ汁の底に沈澱するものを...
柳田國男 「食料名彙」
...迷いも澱(よど)みもない姿とその眉は何か清潔な感をすら左右の者に覚えさせた...
吉川英治 「私本太平記」
...どこか澱(よど)みがあるのはぜひもない...
吉川英治 「私本太平記」
...しかし義経の感情はなお感情のまま胸のすみに澱(よど)んでいた...
吉川英治 「源頼朝」
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