...葉子は涙に解けて漂うような目を恨めしげに大きく開いて黙って倉地を見返した...
有島武郎 「或る女」
......
石川啄木 「一握の砂」
...故もない微笑(ほほゑみ)がチラリと口元に漂ふ...
石川啄木 「鳥影」
...自分は今大海に漂へる一孤舟の身となつた...
高濱虚子 「俳諧師」
...大英老帝国の燻(くす)んだ渋さなり落ち着きなりが漂っているように思われた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...ことによると日本の歴史以前の諸先住民族の中にはそうした漂流者の群が存外多かったかもしれないのである...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...なつかしげな眼色を漂わすところ...
豊島与志雄 「「草野心平詩集」解説」
...淋しい心持を漂(ただよ)わせるため...
永井荷風 「銀座」
...側は漂渺(ひょうびょう)たる隅田の川水青うして白帆に風を孕(はら)み波に眠れる都鳥の艪楫(ろしゅう)に夢を破られて飛び立つ羽音(はおと)も物たるげなり...
永井荷風 「向嶋」
...おれも永らく身世(しんせい)漂浪(ひょうろう)の体じゃ...
中里介山 「大菩薩峠」
...海女が立っていた近くの海上には、世にも怖るべき海獣が一つ、漂うている...
中里介山 「大菩薩峠」
...悲しく寂しげに漂泊して居る...
萩原朔太郎 「宿命」
...落附いた色彩(いろ)と香(か)があたりに漂い流れている...
長谷川時雨 「大橋須磨子」
...桃色(ピンク)の地にレイスの附いた布が浮かぶとも沈むともなく漂っているのを認めた...
牧逸馬 「双面獣」
...また漂泊の女歌手グラウキアの下僕となった牡羊の話をするし...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...少なくとも遊行(ゆうこう)が一処不住(いっしょふじゅう)の漂泊生涯を意味していたことは...
柳田国男 「木綿以前の事」
...その頃の那珂川の水は透明清冽で博多織糸の漂白場(さらしば)であったが...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...もう去りゆく家の寂しさが雑然と漂(ただよ)っているのである...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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