...従ってまた厠溷(しこん)も多くはない...
芥川龍之介 「尼提」
...文太郎の意識は漸く朦朧として此も夢で言つたのか現で言つたのか溷濁した其眼は覺めてゐるのか眠つてゐるのか其すら判明しなかつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...私は自分の中にある不純の分子や溷濁(こんだく)の残留物を知っているので時々自信を失いかけると...
高村光太郎 「智恵子の半生」
...溷濁(こんだく)した水面をじっと見まもった...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...これはたぶんまつ毛のためやまた眼球光学系の溷濁(こんだく)のために生ずるものかと思われる...
寺田寅彦 「人魂の一つの場合」
...笹村はちょうどまた注射の後の血が溷濁(こんだく)したようになって...
徳田秋声 「黴」
...おはぐろ色した溷(どぶ)の汚水(おすい)と...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...喬木簇生して奇矯秀溷...
長塚節 「草津行」
...自分(じぶん)の損失(そんしつ)を顧(かへり)みる餘裕(よゆう)を有(も)たぬ程(ほど)惑亂(わくらん)し溷濁(こんだく)して居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...霊台方寸(れいだいほうすん)のカメラに澆季溷濁(ぎょうきこんだく)の俗界を清くうららかに収め得(う)れば足(た)る...
夏目漱石 「草枕」
...彼の眼玉がかように晦渋溷濁(かいじゅうこんだく)の悲境に彷徨(ほうこう)しているのは...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...只幾分か頭脳が茫乎(ぼんやり)して来まして所謂軽度の意識溷沌(こんとん)に陥り追想力が失われる様で有ります...
西尾正 「陳情書」
...溷濁の浮世を離れてゐても...
林芙美子 「旅人」
...乳白色の溷濁したものが...
久生十蘭 「雲の小径」
...昨夜はバンガローで朝まで眼をあいていた」久美子は重苦しい意識の溷濁(こんだく)の中で覚醒した...
久生十蘭 「肌色の月」
...むざんに溷濁の干潟に曝し...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...意識もしだいに溷濁(こんだく)するばかりである...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...第三高調波(サードハーモニックス)を描く放送音楽(ラジオミウジック)……蓄電器(コンデンサアー)のように白々(しらじら)しく対立した感情……溷濁(こんだく)した恋情と...
蘭郁二郎 「古傷」
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