...「これじゃ(といってほこりにまみれた両手をひろげ襟頸(えりくび)を抜き出すように延ばして見せて渋い顔をしながら)どこにも行けやせんわな」「だからあなたはお帰りなさいましといってるじゃありませんか」そう冒頭(まえおき)をして葉子は倉地と押し並んでそろそろ歩きながら...
有島武郎 「或る女」
...「大分渋いものを拵(こしら)えたネ...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...さつきもお前が行つて了つたら家がせいせいするだらうつて渋い顔をしていらつしやるんですよ...
鈴木三重吉 「桑の実」
...私のような病人はまことに難渋いたします...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「幻想」
...ちょうど人形の衣裳のように派手で渋いところのある色合いの...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...顔の派手なものは渋いものは駄目さ...
徳田秋聲 「水ぎわの家」
...トルコ珈琲のすこし酸いような渋い味いは埃及(エジプト)煙草の香気によく調和するばかりでない...
永井荷風 「砂糖」
...これでも渋いものだよ...
夏目漱石 「行人」
...渋い小唄を聴いたりする...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...それも相当渋いもので...
久生十蘭 「キャラコさん」
...味なことをしやがる」丸山捜査主任は渋い顔でうなずいた...
久生十蘭 「肌色の月」
...かなたの馭者は渋い顔をしてそれを受けた...
水野葉舟 「黄昏」
...渋い赤紫の色調である...
柳宗悦 「樺細工の道」
...素地も優れ藍の色もまた渋い...
柳宗悦 「工藝の道」
...この色は特別に美しくやや艶消(つやけし)の渋い調子であります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...それが「渋い」というような平易な言葉で...
柳宗悦 「民藝四十年」
...生きているより死んだほうがましな連中ですがね」そしてひどく渋い顔をし...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...三福は声よりも節で渋い芸風...
山本笑月 「明治世相百話」
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