...薄汚ない横町の、晝猶暗き路次を這入つた突當り、豚小舍よりもまだ酷い二間間口の裏長屋であつた...
石川啄木 「雲は天才である」
...どこかその近邊をうろついてゐた一人の汚ないあぶれ者が別の方面から彼に近づいて來た...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...薄汚ない洋傘(こうもり)を持っていて...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「青玉の十字架」
...泥壁のくずれ落ちたとこから笹の葉がのぞいている汚ない室(へや)に倅(せがれ)をねかして...
徳永直 「冬枯れ」
...それにです、第一、相手方の方にして考えてみても、今時、この胆吹山の山腹あたりに、十八文の先生風情に向って誘惑を試むべく、ふくらっ脛(ぱぎ)の白いところを臆面なく空中に向って展開しているような、洒落気(しゃれけ)満々たる女があろうとは思われないし、また、先刻の大きな鷲(わし)にしてからが、良弁(ろうべん)とか弁信とかいったような可愛らしい坊主の頭の一つもあれば、さらってみようとの出来心を起すかもしれないが、この薄汚ない、拾ったところで十八文にしかならない老爺を、わざわざ重たい思いをして空中まで引き揚げてみようという好奇心も起らないでしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...柱の折れかかった汚ない寝床へと急ぐのであった...
中島敦 「南島譚」
...汚ない黒木綿(くろもめん)の羽織に...
夏目漱石 「野分」
...彼は室の隅(すみ)に畳んであった薄汚ない蒲団(ふとん)を敷いて...
夏目漱石 「門」
...薄汚ない身に恥ぢたか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この汚ない老爺さんに呆然(ぼうぜん)としていた...
長谷川時雨 「木魚の顔」
...「汚ないぢやありませんか...
長谷川時雨 「東京に生れて」
...汚ない子供達がかたまつて煙草を吸つてゐた...
林芙美子 「浮雲」
...から意地汚ない方でござりまして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...うす汚ない雑貨店みたいのが...
堀辰雄 「雉子日記」
...なあ先生様そういうものでがしょう? やれ着物が汚ないの...
本庄陸男 「白い壁」
...自分の汚ない店の前で...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...臭くて汚ない行倒れか...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...汚ない物でも振り払うように...
山本周五郎 「五瓣の椿」
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