...杳として行衛が知れぬのだ...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...霞たつ暖い日で、山は空と溶け合うて、ややともすればその輪廓を見失うほど、杳(はる)かに、そして幽(かす)かなものであった...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...ローン・スター号の末路は杳として知れない...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 加藤朝鳥訳 「橙の種五粒」
...取りとめもない杳(はる)かな想い...
豊島与志雄 「丘の上」
...杳(よう)トシテ際涯ヲ見ズ...
永井荷風 「向嶋」
...頭目モーナルーダオはその後杳(よう)として行方がわからなかったが...
中村地平 「霧の蕃社」
...官能の実覚から杳(はる)かに遠からしめた状態であった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...世間には杳(よう)として聞こえない凡材のくせに...
夏目漱石 「三四郎」
...それっきり杳(よう)として判りませんが...
野村胡堂 「江戸の火術」
...別れた人なぞは杳(はる)かにごま粒ほどの思い出となり果てた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...杳か下の方の熱帶樹の蔭に自動車が風をよけてゐる...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...三日になるが杳(よう)として顎十郎の消息が知れない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...彼はあの翌朝早々と丹沢山中の某所に石斧の採集に赴いたといふ下婢の伝へで杳としてその行方がわからなかつた...
牧野信一 「冬物語」
...執行猶予(しっこうゆうよ)をされたことだけは聞いたが……以来杳(よう)として消息も聞かずに来たんじゃ...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...杳(よう)として分らない...
吉川英治 「私本太平記」
...備後(びんご)の尾道(おのみち)へ落ちて行ったとあるが――杳(よう)としてしばらく所在が知れなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...杳として分らない...
吉川英治 「平の将門」
...杳(よう)としてその影を京大坂の附近では見かけたことがないと誰もいう...
吉川英治 「宮本武蔵」
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