...実際その時はそうして見たら、ふだんは人間の眼に見えない物も、夕暗にまぎれる蝙蝠(こうもり)ほどは、朧げにしろ、彷彿(ほうふつ)と見えそうな気がしたからです...
芥川龍之介 「妖婆」
...朦朧(もうろう)として漂えり...
泉鏡花 「活人形」
...名ある麗人の霊のごとく朦朧(もうろう)として露(あら)われた途端に...
泉鏡花 「婦系図」
...朦朧として黒い人影が浮び出した...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...すべてが白痴(こけ)のように朦朧とした感じであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...朧々(ろう/\)と霞んだ月が花の雲を透して照っているので...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...朧(おぼろ)げに記憶に残っていた...
徳田秋声 「黴」
...自分の表現した朦朧(もうろう)たる熱情をいっそうよく理解した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...この夜風暖にして公園の樹木霧につゝまれ、月また朦朧...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...けれども意識は朦朧(もうろう)として...
夏目漱石 「行人」
...霊の交換をやって朦朧体(もうろうたい)で出合って見たりする事はとうてい出来なかった」「御気の毒様で」と寒月君が頭を下げる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...烟(けぶ)ったような朧月に照されて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...朧の中に姿を消してしまいました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...中国山脈も湾口に臨む一塊の都市も薄紫の朧である...
原民喜 「壊滅の序曲」
...「友アリ遠方ヨリ来ル」云々に就いての解釈を朧げに憶えてゐる...
牧野信一 「余話」
...私はどこまでも朧夜を採り度い...
正岡容 「寄席風流」
...伊吹の一夜の出来事から――あの梅朧(うめおぼろ)な物蔭のことまでも...
吉川英治 「私本太平記」
...誰もが神気朦朧(もうろう)としているうちに...
吉川英治 「新・水滸伝」
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