...最初のうちは、夢のように信じられなかった夫の死も、半歳(とし)一年と日がたつにつれ、追々ハッキリした意識となって、いまはもう、子供のためにこうして働きながら、酔ったまぎれに法螺(ほら)とも愚痴ともつかぬ昔話をするのが、せめてもの楽みになっているのだった...
大阪圭吉 「動かぬ鯨群」
...この速製の探偵屋に最初のうち少からず危気(あぶなげ)を覚えていた私も...
大阪圭吉 「死の快走船」
...最初のうちは存じませんの一点張りで...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...それで最初のうちは盛んに怒鳴りたて...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...しかしお婆さんは、最初のうちは、与八の人相の引合いとして三志様なるものを持ち出したのですが、今は、与八の人相はそっちのけになって、鳩ヶ谷の三志様の鑽仰(さんぎょう)で持切りになってしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...最初のうち損をしたというのも...
中里介山 「大菩薩峠」
...駒井甚三郎も、最初のうちは、ちょくちょく来て見たけれども、これは、二人を叱りも、からかいもしないけれども、二人の方で気が置けて、やっぱり姿を見せないことにつとめているし、駒井もまた、二人の存在を無視して、仕事を片づけては行くものですから、ほとんど没交渉のようなものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...最初のうちは、綱吉の一件もあり、岡つ引としての平次の身分を忘れ兼ねて、妙に遠慮もありましたが、やがて平次の人柄や、金の使ひ方にひかされるともなく、そんな事を忘れて了つて、心から歡迎するやうな心持になつて居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...最初のうち彼等のおかれた状態は...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...最初のうちはこのうへもない上々の首尾で勝負が進んだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...最初のうちは、それでも男は幾たびか、人目に立たないようにわざと日の暮を選んで、前の女のいる西の京の方へ往きかけた...
堀辰雄 「曠野」
...最初のうちは、「そんなら行きたくはないわ」と拗(す)ねておいでだったが、午後になると、急に機嫌を直して、明さんを誘って一緒に出かけていった...
堀辰雄 「楡の家」
...最初のうちは何んだかゴミゴミした汚らしい小家の台所の前などを右へ折れたり左へ折れたりしていたが...
堀辰雄 「三つの挿話」
...最初のうちは、まだ私が家に帰って来ていないと思って遊びに来ないのだろうと思っていた...
堀辰雄 「幼年時代」
...最初のうちこそ敵意を持つてゐたが...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...最初のうちこそ「坊ちゃん坊ちゃん」と囃(はや)し立てた子供も...
水上滝太郎 「山の手の子」
...ひるまのマも最初のうちは朝夕二つのケの中間ということだったのが...
柳田国男 「母の手毬歌」
...他の者共は航海の最初のうちは大抵支那海へ葬られたのであつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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