...水かひば エミイル・ヴェルハアレンほらあなめきし落窪(おちくぼ)の、夢も曇るか、こもり沼(ぬ)は、腹しめすまで浸りたるまだら牡牛の水かひ場(ば)...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...眼鏡がたちまち曇るほどだ...
梅崎春生 「狂い凧」
...(沙魚が釣れましたね、)と彼が挨拶のかはりに云ふと、(今日は天気の具合が好いから、もすこし釣れさうなもんですが、釣れません、)(やつぱり天気によりますか、なあ、)(あんまり、明るい、水の底まで見える日は、いけないですよ、今日も、もすこし曇ると、なほ好いんですが、)(さうですか、なあ、)彼はちよつと空の方を見た...
田中貢太郎 「蟇の血」
...めづらしく宵寝、いろ/\の夢を見た、とき/″\眼が覚めて、孤独のおもひが澄みわたつた、身に迫つてちんちろりん、虫もさびしいのだろう!徳の力――人徳九月廿二日秋晴、何ともいへないこゝろよさ、午後は曇る...
種田山頭火 「一草庵日記」
...椿さきつゞき・椿おちてはういてたゞよふ・おもひつめては南天の実・春がきたぞよ啼く鳥啼かぬ鳥彼岸入といふ晴れたり曇つたりして晴れては曇る鴉のさわがしく人を待ちつゝあたゝかく爪をきりつゝ三月十七日晴れて冷たく...
種田山頭火 「其中日記」
...七月廿日また曇る...
種田山頭火 「其中日記」
...百舌鳥するどく酔ひざめの身ぬちをつらぬく十一月廿二日晴、時々曇る...
種田山頭火 「其中日記」
...有名な「古池やかわず飛び込む水の音」はもちろんであるが「灰汁桶(あくおけ)のしずくやみけりきりぎりす」「芭蕉(ばしょう)野分(のわき)して盥(たらい)に雨を聞く夜かな」「鉄砲の遠音に曇る卯月(うづき)かな」等枚挙すれば限りはない...
寺田寅彦 「映画芸術」
...たとえば「鉄砲の遠音(とおね)に曇る卯月(うづき)かな」というのがある...
寺田寅彦 「映画時代」
...八一本の浅葱桜(あさぎざくら)が夕暮を庭に曇る...
夏目漱石 「虞美人草」
...明治中世のはやり唄には木更津曇るともお江戸は晴れろすいたお方が日にやけるというのがあった...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...例えば帰る雁(かり)田毎(たごと)の月の曇る夜に菜の花や月は東に日は西に春の夜や宵(よひ)曙(あけぼの)の其中に畑打や鳥さへ鳴かぬ山陰に時鳥(ほととぎす)平安城をすぢかひに蚊の声す忍冬の花散るたびに広庭の牡丹や天の一方に庵(いほ)の月あるじを問へば芋掘りに狐火や髑髏(どくろ)に雨のたまる夜に常人をしてこの句法に倣(なら)わしめば必ずや失敗に終らん...
正岡子規 「俳人蕪村」
...坂、坂は照る照る鈴、鈴鹿は曇る、あいのあいの土山雨がふる、ヨーヨーと来るだろう...
正岡子規 「煩悶」
...雨止むも依然曇る...
松濤明 「槍ガ岳」
...曇るべき月には直(すぐ)に黒くなり...
柳田国男 「遠野物語」
...決して月の曇ることはないんですってよ...
山本周五郎 「山彦乙女」
...照るともなく曇るともない空模様のうちに雨が降って来た...
横光利一 「旅愁」
...その度びに顔の曇るのを眺めるのは気がかりなことだった...
横光利一 「旅愁」
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