...しかしそれ等も信輔には曇天を洩(も)れる日の光だった...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...時は雨が上つて空がまだ曇つてゐる秋の夕暮であつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...一点の曇りの様にさえ感じられた...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...十月九日曇、時雨、行程三里、上ノ町、古松屋(三五・上)夜の明けないうちに眼がさめる、雨の音が聞える、朝飯を食べて煙草を吸うて、ゆつくりしてゐるうちに、雲が切れて四方が明るくなる、大したこともあるまいといふので出立したが、降つたり止んだり合羽を出したり入れたりする、そして二三十戸集つてゐるところを三ヶ所ほど行乞する、それでやつと今日の必要だけは頂戴した、何しろ、昨日は朝の別れに例のお遍路さんと飲み、行乞はあまりやらなかつたし、それにヤキがなくてリヨカンに泊つたので、一枚以上の食ひ込みだ(かういふ世間師のテクニツクを覚えて使ふのも、かういふ境涯の善し悪しだ)...
種田山頭火 「行乞記」
...――長崎の句として・ならんであるくに石だゝみすべるほどの雨(途上)(だん/″\すべるやうな危険を持つてきた!)□・冬曇の大釜の罅(ヒビ)(崇福寺)□・寺から寺へ蔦かづら(寺町)□・逢うてチヤンポン食べきれない(十返花君に)□・すつかり剥げて布袋は笑ひつゞけてゐる(福済寺)□・冬雨の石階をのぼるサンタマリヤ(大浦天主堂)二月五日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...四月卅日雨后曇、后晴、再び緑平居に入る...
種田山頭火 「行乞記」
...私は私の寝床を持つてゐる七月十五日曇...
種田山頭火 「行乞記」
...ぬけさうな歯のぬけないなやみ二月十五日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...八月廿四日朝は曇つて厄日前の空模様だつたが...
種田山頭火 「其中日記」
...十一月廿六日晴、時々曇...
種田山頭火 「其中日記」
...五月廿四日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...薄曇りの空の光に日頃は黒い緑の木葉(このは)が一帯に秋の如く薄く黄ばんで了つて...
永井荷風 「花より雨に」
...一層の怒気で曇って見えました...
中里介山 「大菩薩峠」
...球轉がし曇つた、陰鬱の午後であつた...
萩原朔太郎 「宿命」
...この南安曇(みなみあずみ)の有明(ありあけ)村から出る「山繭織(やままいおり)」であります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...振返ると背面の入江は幾百の支那ジヤンクを浮(うか)べて浅黄色に曇つたのが前面の忙(せは)しげな光景と異(ちが)つて文人画の様な平静を感ぜしめる...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...砲台のある湾口(わんこう)の島に並んで有名なシヤトウ・ド・デイツフの牢獄の島が白く曇つて居た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...曇(くも)ると、それへまた、ざあっと白い時雨がそそぎかかる...
吉川英治 「源頼朝」
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