...人為で与えた害はまた人為をもって掩うことが出来るからである...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あいにくの霧は南の空を掩うて...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...私は右の手で手拭を持ってそれで口と鼻とを掩うて...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...そうした死体が二町四方もあろうと思われる所を掩うて見えた...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...雪の黄昏を眺めた私の心のやるせない淋しさ――それは世界を掩うて近寄り来る死の蔭の冷(ひい)やりとした歩(あゆ)みをわれ知らず感じたのでした...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...椋鳥はしら/\明に西から疾風の響をなして空を掩うて渡る...
長塚節 「寫生斷片」
...荷物の風呂敷で顏を掩うた...
長塚節 「旅の日記」
...一枚のどてらは三人を掩うた...
長塚節 「利根川の一夜」
...中央の山陵は杉の木が一杯に掩うて蔚然と小山のやうである...
長塚節 「松蟲草」
...煙だといふのは埃が吹つ立つた樣な色で斜に長く棚引いて巾廣に海を掩うて居る...
長塚節 「彌彦山」
...廂を掩うて居る桐の木がもう落葉して居るので其落葉へ雨はばしや/\と打ちつける...
長塚節 「隣室の客」
...女は私に近よつた時急に両手の袖を重ねて胸を掩うた...
長塚節 「隣室の客」
...もはや掩うべからざる...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...頭も足も自然がここにつけた以外のものをもって掩うな...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...手巾(ハンケチ)で顔を掩うて私達の早足に去る事を促した...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...耳を掩うように手を当て眼を閉じていた...
若杉鳥子 「ある遊郭での出来事」
...先づ小さな門を掩うてゐる深々しい篁(たかむら)が眼についた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...見る限り一面の淺瀬が岩を掩うて流れてゐるのはすが/\しい眺めであつた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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