...早(はや)く言(い)へば彼等(かれら)は恰(あだか)も...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...恰も大學名物早慶野球戰春の試合を前にして過去の追憶を新たにし...
相馬御風 「校歌「都の西北」と私」
...実は恰も意識の問題に対して疎外的であることをその特色とする問題――例えば物質概念がそのようなものと考えられている――を解こうと試みる...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...恰もアリストテレスが「存在」と区別した処のかの「或る物」をばそれは指している(前を見よ)...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...そうして輪廓からいっても恰好(かっこう)の判然しない何かの塊(かたまり)に過ぎなかった...
夏目漱石 「道草」
...無愛想ではあるにしても見たところいかにも恰幅のいゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ジヤン拳(けん)か何んかで恰好をつけるでせうが――」「そんなことで濟むのかな」平次はこの事件の底に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...支配人はもう玄関の前のたたきにある手すりに滑稽な恰好で両手でしがみついていたのだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...頭はまんだら模様に禿げわたつてところどころに毛虫が五六匹も這ひまはつてゐるやうな恰好になるのだ...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...僕はその犬が例の不氣味な恰好をした家の影の中へ飛び込んで行くのを見る...
堀辰雄 「眠れる人」
...」崖下の共同浴場の窓から――草は萌えたち、鳥は歌ひ、蝶は舞ふ、何と長閑な春となつたといふに、何うして俺は斯んなにも物憂気なのだらうか、働いても/\楽にならない貧乏の扇が煽りを止めぬためだらうか、などゝいふ風なくだらぬ意味の歌が、然し、それが歌手自身の真心からの溜息であるかのやうに悠やかな韻律で響き、歌の絶(き)れ目となると、ワツハツハ……といふ笑ひ声が、恰度、合唱のやうに一勢に挙つた...
牧野信一 「ゾイラス」
...娘(むすめ)に然(さ)う云(い)へ』其(そ)れは恰(あだか)も愛(あい)ちやん以上(いじやう)に或(あ)る權威(けんゐ)を持(も)つてゞも居(ゐ)るかのやうに...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...恰も、人生はさまざまであるにしても、短い一生の者にも、長い一生の者にも、すべての人生には人生としての共通の感情があるやうに...
三木清 「人生論ノート」
...恰(あたか)も音楽の一つの曲の如何なる瞬間に或る音が来るかということが偶然でないように...
三木清 「人生論ノート」
...恰(まる)で氣拔でもした人のやうに歩いて行く...
三島霜川 「解剖室」
...田辺はどうだ犀星驚いたかと恰もこの群衆が田辺の所持品ででもあるように...
室生犀星 「洋灯はくらいか明るいか」
...自動車へ片足をかけた唐沢氏が屈みこむような恰好でおしもを引き寄せ...
矢田津世子 「女心拾遺」
...胸も伸ばさない恰好だった...
吉川英治 「私本太平記」
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