...人の目にかからぬ木立の間を索めて身に受けた創(きず)を調べ、この寂しい処で、人を怖れる心と、人を憎む心とを養うより外はない...
レオニイド・アンドレイエフ Leonid Andrejew 森鴎外訳 「犬」
...人も怖れる西比利亜(シベリア)の荒野を共産党の汽車で横断しようというのだから...
谷譲次 「踊る地平線」
...まるで自分の想念を盗み聴かれはしまいかと怖れるかのように...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...蛇を怖れるは猿猴(えんこう)の類に限る...
寺田寅彦 「話の種」
...お銀様を怖れるのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...特にそんなに怖れるものは無いはずだが――さては...
中里介山 「大菩薩峠」
...不浄なものをいやがり怖れることが普通以上なのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...自殺を怖れる第一の理由が痛み...
林芙美子 「浮雲」
...金五郎を怖れる気持を生じていた...
火野葦平 「花と龍」
...死を怖れるのも怖れぬのも共に理由のない事だ...
二葉亭四迷 「予が半生の懺悔」
...そうして恰(あたか)も空っぽになった自分を見る事を怖れるかのように...
堀辰雄 「菜穂子」
...それのひろがるのを怖れるように吉原は盃を取って差した...
本庄陸男 「石狩川」
...ぎょろりとした眼に人を怖れる容子もなく私の真向(まっこう)から視線をあびせてかかり...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...怖れるものはありません……小母上にはお眼にかからずにまいります...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...――お前、泣いてるのか」「お、父様ッ……」と、彼女は、極度な感情に、全身をふるわせ、父を怖れる眼で、父を疑った...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...その不機嫌にも、怖れると共に、もっと痛切に妻として希(ねが)うことは、どうかして、良人の悩みを、少しでも分け持って、その苦悩をいささかなりと慰めてあげたいということだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...怖れるものもないように...
吉川英治 「新・水滸伝」
...老公の眼底にすら何か予感を怖れるかのような光がみえた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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