...さうして内容と實力とは尨大なる自意識の薄暗い下蔭に日の目を見ぬ草のやうに影の薄い朝夕を送つて行く...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...父はあわれむべく影の薄い一人(ひとり)の男性に過ぎなかった...
有島武郎 「或る女」
...そのたくさんの女の中の影の薄い一人(ひとり)の女として彼は自分を扱っているのではないか...
有島武郎 「或る女」
...井戸端に夕日の影の薄い頃であつた...
伊藤左千夫 「奈々子」
...それ以後『ホトトギス』を余の手で出すようになるまでのおよそ三ヶ年間はよほど影の薄い感じがする...
高浜虚子 「子規居士と余」
...現れては消えるといふやうな影の薄い朧気なものであつた...
高浜虚子 「椿子物語」
...影の薄いものにしたことは否(いな)まれなかつた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...まるで影の薄い抽象的な「誰でも」の知識になってしまう...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...なんとなく影の薄い存在となったようである...
寺田寅彦 「備忘録」
...或ひは私の過去の生活が影の薄いものであつたためか...
徳田秋声 「町の踊り場」
...日影の薄いその日々...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...自分の影の薄いことが痛切に感じられて来た...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...おれのような幽霊同様の影の薄い人間を...
中里介山 「大菩薩峠」
...非常に影の薄いものであることは事実である...
中谷宇吉郎 「簪を挿した蛇」
...影の薄い二本差です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紙風船は影の薄い東洋人にばかり似合ふのかと思ふと...
林芙美子 「シベリヤの三等列車」
...影の薄い夫の姿を見入った...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...もう余程影の薄いものになつて居たやうなあるものが...
與謝野晶子 「帰つてから」
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