...(何を、怯(おじ)けて――)と、自分を叱って、すぐ膝の前に、よく眠入(ねい)っている、斉彬の二男、寛之助の眼を、じっと眺めた...
直木三十五 「南国太平記」
...「寛之助様、ばかばかしゅうござりませぬが」と、いうと、斉彬は、ホンフランドの「三兵話法」を、読みながら、「あれは、生来弱い」「しかし、御病状が、異様でござります」「病気のことは、医者に任せておけ」「医者の手ではおよばぬ――」「なら、天命だ」左源太は、それ以上、斉彬に云えなかったから、英姫に「よもやとは思いまするが、例(ためし)のあること...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬は、寛之助の枕頭へ坐って、じっと、病児の顔を眺めた...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬の眼に従って...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬は、暫く黙っていたが「益満の在所(ありか)は?」と、名越へ振返った...
直木三十五 「南国太平記」
...ただ判断のつくのは、斉彬公のために、悪逆の徒を滅すことは、何よりも、家来としての為すべきことだ、ということだけじゃ――南玉、戻ろうか?」益満は、微笑したままで、小太郎の顔を、じっと、眺めていた...
直木三十五 「南国太平記」
...だが、斉彬派の人々は、そうしておれなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...人種(ひとだね)が無くなるぞ」「斉彬公と...
直木三十五 「南国太平記」
...何う、処分しても――何んなに軽い処分でも――)将曹は、自分の位置として、斉彬のやり方として、斉興が、お為派に加えたような処分はしないとしても――(役は変えられる、罷免される――命にも、石高にも別条は無いが――然し、現在の役を誰かに代えられたなら、それで、万事は、水泡に帰する)将曹は、自分達の計画した、斉彬の世嗣を、呪殺するということが、余りに、うまく運びすぎたことに、喜んでもいたが、その底では、薄気味悪くもあった...
直木三十五 「南国太平記」
...よろしくとの、お伝えでござります」「そうか、父上御機嫌であったか、そうか」斉彬は、元気いい、快い笑顔になった...
直木三十五 「南国太平記」
...将曹、平と、刺違えるような馬鹿者は、斉彬、家来と思わんとな」と、云った...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬を呪咀する一点に...
直木三十五 「南国太平記」
...牧は、斉彬が、真逆様に、闇黒の底に燃え上っている火焔の中へ落下して行く形を見、それを追うて、同じように、墜落して行く自分の姿をも見た...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬の死の安楽と...
直木三十五 「南国太平記」
...(わしは、今まで、何をして来た?)牧は、斉彬と、その家を呪咀したのみでなく、自分の一家をも、呪咀し、その最後にも、殺されながら、小太郎に、打ち勝ったように思われた...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬が臨終の時にまで...
直木三十五 「南国太平記」
...大久保一蔵は、琉球館書記方心得を、罷免されてしまったし、その外、斉彬の手で、取立てられ、取立てられかけていた人々は、殆んど、その位地を奪われてしまった...
直木三十五 「南国太平記」
...斉彬公の場合が、そのきわめて稀れな一つの例であったと私には思われた...
中谷宇吉郎 「牧野伸顕伯の思い出」
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