...幽かに遙かなる影を落して來る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...縣知事や郡長が馬車で巡視した時架橋者總代たる父は例の洋服で案内役をしたことを今も幽かに覺えてゐます...
石川三四郎 「浪」
...幽かに唇(くち)を歪めて微笑(ほほゑ)んで見た...
石川啄木 「足跡」
...實に幽かな物聲がする...
今井邦子 「佛法僧」
...そして幽かにプチプチと啼(な)いていたのだよ...
梅崎春生 「蜆」
...頭の上を突然サワサワという幽かな音が通った...
梅崎春生 「日の果て」
...幽かにそんなことを考えていた...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...祝祭のごとき喜びをおゝ五月の朝明け空の若々しさ雲は靜かに現はれ來り高いところを小さく列りつゝ幽かに滑りゆき天地は靜かに行列しつゝ運行す(一九一八...
千家元麿 「自分は見た」
...木魚の音が又響き始めたと思ふと他にも幽かなる物音が聞える...
高濱虚子 「俳諧師」
...幽かに溜息をついた...
太宰治 「お伽草紙」
...と幽かな音がする...
太宰治 「乞食学生」
...N君は幽かな溜息をついて...
太宰治 「津軽」
...そういう時の自分にとって、幽かな救いは、シゲ子でした...
太宰治 「人間失格」
...蟋蟀いつか長椅子の下に潜み夜をも待たず幽かに鳴く音を立つ...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...さめかけたとは云へまだ殘つてゐる幽かな醉心地が私をそそのかし始めたのも事實だつた...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...それとも幽かな明りをしたうてそれだけの望みで来たのかも知れない蛾といふものは夜生れたものではなからう...
室生犀星 「忘春詩集」
...千鶴子と自分との縁談の進行を妨げている介在物の臭いも幽かに起つのを感ずると...
横光利一 「旅愁」
...幽かに横から拝んだ秘仏の顔が...
和辻哲郎 「四十年前のエキスカージョン」
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