...ただこの古池に臨んだ茶室だけは昔よりも一層もの寂びている...
芥川龍之介 「本所両国」
...上品に赤い唐艸(からくさ)の寂びた九谷(くたに)の鉢を一つくれた...
芥川龍之介 「野人生計事」
...神寂びし篠懸(すずかけ)よ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...『逃げ出そう!』荒れ寂びた海辺...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...寂びしおりを理想とするということは...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...寂びの意味があるといえよう...
中井正一 「スポーツの美的要素」
...佐渡は到る所が物寂びて居るが此の漁村はまた格別である...
長塚節 「佐渡が島」
...物寂びた朝夕を送っていた...
中谷宇吉郎 「露伴先生と神仙道」
...もの寂びた森のそばを過ぎて...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...この物寂びた社(やしろ)の辺りの静かな茶屋も面白い...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...寂びしく不安にし...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...柵を透(とほ)して見える古い層楼の正面の石廊(せきらう)へ夕日の斜めに射(さ)した光景が物寂びて居た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...如何(いか)にも僧院に似た様な此(この)古い物寂びた建築から出て行(ゆ)く事を翁の厭がるのは無理も無いなどと小声で話して待つて居ると...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...古い都丈(だけ)に建築が寂びて居て清潔な割に生(なま)な感を与へないのも好い...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...寂びた様で、おもひのほかにつややかなのは吾木香であらう...
若山牧水 「秋草と虫の音」
...而かも寂びてゐた...
若山牧水 「木枯紀行」
...ゆきゆけどいまだ迫らぬこの谷の峡間(はざま)の紅葉時過ぎにけりこの谷の峡間を広み見えてをる四方の峰々冬寂びにけり岩山のいただきかけてあらはなる冬のすがたぞ親しかりける泥草鞋踏み入れて其処に酒をわかすこの国の囲炉裏なつかしきかなとろとろと榾火(ほだび)燃えつつわが寒き草鞋の泥の乾き来るなり居酒屋の榾火のけむり出でてゆく軒端に冬の山晴れて見ゆとある居酒屋で梓山村に帰りがけの爺さんと一緒になり...
若山牧水 「木枯紀行」
...この寂び古びた壜や箱の藥品が私には常に氣になつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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