...こゝまで四里の道すがら行乞したが、すつかり労れてしまつた、おまけにボクチンに泊りそこなつて(あのボクチンのマダムは何といふ無智無愛嬌だつたらう)旅館に泊つた、一室一燈を占有して、のんびりと読んだり書いたりする、この安らかさは、二十銭三十銭には代へられない、此宿はかなり広い家だが、お客さんとしては私一人だ、主人公も家内もみな好人物だけれど、不景気風に吹きまくられてゐるらしい...
種田山頭火 「行乞記」
...私はこんな安らかさの中に...
外村繁 「夢幻泡影」
...心のおけないような安らかさにあり乍ら...
豊島与志雄 「恩人」
...ぶっつかるべきものにぶっつかっていった後の安らかさだった...
豊島与志雄 「二つの途」
...下に眠っている人の安らかさを...
直木三十五 「南国太平記」
...母の背中にスヤスヤと眠るような安らかさで...
中里介山 「大菩薩峠」
...法悦的な安らかさを湛(たゝ)へてゐるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...恋などとはたかのしれたものだ散る思いまことにたやすく一椀の飯に崩折れる乞食の愉楽洟水(はなみず)をすすり心を捨てきるこの飯食うさまの安らかさこれも我身なり真実の我身よ哀れすべてを忘れ切る飢えの行尾を振りて食う今日の飯なり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...再びまた以前の母子差し向いの面倒のない生活に一種の不精から来る安らかさを感じている矢先きでもあったのだ...
堀辰雄 「菜穂子」
...一種言うに言われぬ安らかさを味い出している自分自身を見出さずにはいられなかった...
堀辰雄 「ほととぎす」
...泣いて泣いて泣きあかした後の安らかさとでも云ふのでありませうか...
牧野信一 「青白き公園」
...変な安らかさを感じた...
牧野信一 「渚」
...――今なら反つて落ついて仕事が出来さうな安らかさを感じた...
牧野信一 「冬の風鈴」
...体の内に何とも云えない暖かさと安らかさとがある...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そこには常に安らかさと確かさとがあるのである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...不満足な安らかさを覚えて来た...
横光利一 「上海」
...巷の恋に代った安らかさを病人に与えるために他ならない...
横光利一 「花園の思想」
...東野に愛情を瀝いでいる真紀子の安らかさの結果だと感じた...
横光利一 「旅愁」
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