...間もなく妙に寂しくなつて家に歸つた...
石川啄木 「散文詩」
...その代りに妙なものが入っていた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...けれども、どうも、それから後は、暗い、と申しても言ひ過ぎで、御ところには陽気な笑声も起り、御酒宴、お花見、お歌会など絶える事もなく行はれて居りましたが、どこやら奇妙な、おそろしいものの気配が、何一つ実体はないのに、それでもなんだか、いやな、灰色のものの影が、御ところの内外にうろついてゐるやうに思はれて、時々ゆゑ知らず、ぞつとする事などもございまして、その不透明な、いまはしい、不安な物の影が年一年と、色濃くなつてまゐりまして、建保五、六年あたりから、あの悲しい承久元年にかけては、もうその訳のわからぬ不安の影が鎌倉中に充満して不快な悪臭みたいなものさへ感ぜられ、これは何か起らずにはすまぬ、驚天動地の大不祥事が起る、と御ところの人たちひとしく、口には言ひませぬけれども暗黙の裡にうなづき合つてゐたほどでございまして、人の心も解け合はず、お互ひ、これといふ理由もなしに、よそよそしく、疑ひおびえ、とてもこの建暦二年の御時勢の華やかさとは較べものにも何もならぬものでございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...こいさん」妙子は間が悪いらしく...
谷崎潤一郎 「細雪」
...何にしても藤棚の上で妙子が聞いたのは...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そしてそういう絶妙な世界が存在し得るのは...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...妙にその耳朶と関連して彼女の「旦那」のことを思い出したからである...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...二つ三つ妙な調子に叩きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...美妙に、令嬢気質(かたぎ)を捨てろとでもいわれたためか、お転婆(てんば)な、悪達者(わるだっしゃ)だともいわれ、莫蓮女(ばくれんおんな)のようにさえ評判された...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...妙に目頭が熱くなる...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...この奇妙な、深い奥行きは、いったいなにから来る感じなのであろう...
久生十蘭 「キャラコさん」
...妙にいきいきと浮んだ...
堀辰雄 「X氏の手帳」
...奇妙なことに、あなたが多くの無実な人々や私を破滅させようとしている最中、あなたの娘さんが神の先兵に選ばれて、あなたをやっつけて全財産を奪うように行動したことです...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...「これだけゐるんだからね、君、一羽位ひつかまへられさうなものぢやないか、どうしても駄目だよ、アハヤ! といふところでね、翼(はね)にも触れないぜ――」滝は、奇妙だな! と、つかみ損つたボール・マンがするやうに首をかしげた...
牧野信一 「籔のほとり」
...魯庵は美妙斎の文章のあくどさを罵倒してゐられるが...
水野葉舟 「言文一致」
...夏は妙に、却っておなかの冷える感じがあるのね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...妙な標題だなあ...
森鴎外 「かのように」
...妙心寺系の禅家のあいだでは...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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