...忽(たちま)ち幽怪(いうくわい)なる夜陰(やいん)の汽笛(きてき)が耳(みゝ)をゑぐつて間(ま)ぢかに聞(きこ)えた...
泉鏡太郎 「十六夜」
...昨夜陰影の強い灯影でみたよりも...
海野十三 「鍵から抜け出した女」
...正造は夜陰の一点を見つめたまま...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...夜陰に乗じ先ず二十艘(そう)ばかり乗出し...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...支那蕎麦屋の夜陰に吹き鳴す唐人笛には人の心を動す一種の哀音がある...
永井荷風 「巷の声」
...「その方たち、夫ある身でありながら、こうして夜陰、お籠(こも)りをすることを許されて来たか」「夫も承知のことでございます、ただ子供がほしいばっかりに……」と泣き伏してむせぶ者もあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜陰忍んで来たのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜陰(やいん)のうちに枝を張っていた...
夏目漱石 「こころ」
...平馬は、三斎の姿を見ると、礼儀正しく、畳に手をついて、「夜陰、突然、お愕(おどろ)かし申し、何とも、相済まぬ儀にござりまする」「うむ、よいよい――」と、三斎は、頷(うなず)いて物珍し気な目を連れの、闇太郎から離さずに、「して、それなる人物は、何者じゃ?」「平素より御隠居さま、一芸一能のある者共を、あまさず、御見知り置き遊ばしたいという、お言葉を承(うけたま)わり居りましたれば――」と、平馬は手を突いたまま、「これなる者は、今宵、御隠居所をさして参りまする途中、測らず、柳原河岸にて出会いました人物――...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「夜陰怪(け)しからぬ者がまいって...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...水流の音を聞いては、夜陰、蟷螂の装束をなして石橋の欄干を渡つた...
三好達治 「測量船拾遺」
...「なぜそれならば夜陰ひそかに彼を殺したのか」とつめよられた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...大昔の神々のごとく夜陰(やいん)密(ひそ)かに通(かよ)ってきて後に露顕したものではなかった...
柳田国男 「山の人生」
...夜陰ではあるし、この夜、風もつよかったので、炎はたちまち全城にひろがった...
吉川英治 「黒田如水」
...前から不和な武芝とも、なお抗争をつづけていたところへ、都から新たに赴任してきた百済貞連とも合わないで、「ここばかりが天地ではない」と、夜陰に乗じて、武蔵を立ち退いて来たのである...
吉川英治 「平の将門」
...夜陰に乗じて事を為遂(しと)げるのは...
吉川英治 「宮本武蔵」
...かあいそうに」「息子の嫁じゃ嫁じゃと仰っしゃっておいででしたから、お姑(しゅうと)なれば、仕方がないと思っていましたが、……じゃあなにか恨み事があって、一寸だめし五分試しに虐(いじ)めていたわけでございますね」「さだめしお婆はたんのうしたろうが、夜陰(やいん)、山の中へ連れ込んだところを見ると、最後の思いをはらそうというつもりだろう...
吉川英治 「宮本武蔵」
...大伴副使は夜陰に乗じてひそかに彼らを自分の船にかくまった...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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