...有るか無きかの初夏の風が心地よく窓に入る...
石川啄木 「鳥影」
...初夏の風のないむせむせする日の夕方のことであった...
田中貢太郎 「放生津物語」
...追加一句・勝つてまぶしく空へ呼吸してゐる・誰も来てはくれないほほけたんぽぽ・爆音はとほくかすんで飛行機・ふるさとの学校のからたちの花・ここに舫うておしめを干して初夏の風・晴れて帆柱の小さな鯉のぼり・暮れてなほ何かたたく音が...
種田山頭火 「其中日記」
...名古屋城・青葉若葉大いなる石垣に日の照りて・天守閣はがつちり風の中をのぼる・鯱のひかりも初夏の風のかがやく・若葉のひかりに触れつゝ行くデパートのエレーターガール・上つたり下つたりおなじ言葉をくりかへして永い永い日デパート所見鯰をひつかける...
種田山頭火 「旅日記」
...三十五荒い夏の風にやけて...
徳田秋声 「あらくれ」
...坐りつけた二階のその窓先には楓(かえで)の青葉が初夏の風に戦(そよ)いでいた...
徳田秋声 「黴」
...私は活動写真や国技館や寄席(よせ)なぞのビラが崖地(がけち)の上から吹いて来る夏の風に飜(ひるがえ)っている氷屋の店先(みせさき)...
永井荷風 「日和下駄」
...何故取れない!何故取れない!電球よ暑くなれ!冬の野原を夏の風が行くに煙が去つた情熱の火が突進するブツカルものもなく――だから不可ない昔からあつたものだのに今新たに起つたものだそれを如何して呉れるい横から眺めてゐるな誰の罪でもない必要ぢやない欲しいだけだ...
中原中也 「情慾」
...明け放された窓からは初夏の風がサカンに頬や帽子の鍔に吹きつけてゐた...
中原中也 「我が生活」
...爽かな初夏の風が...
中谷宇吉郎 「郭公のおとずれ」
...先(ま)ず初夏の風物から書き起して...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...若い夏の風物を洗って...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...よしたまえ」初夏の風の吹き通る十二畳の日本間...
野村胡堂 「胡堂百話」
...初夏の風が吹き拔くやうに開けつ放してあるので...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あるときは初夏の風にふかれながら...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...風は夏の風、でも微風よりつよいと閉口です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...美夏の風邪は癒(なお)り難いのよ...
森本薫 「華々しき一族」
...夏の風は颯爽と訪れて来る...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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