...その中には漢学者では息軒(そっけん)、鶴梁(かくりょう)、宕陰(とういん)、詩人では五山、星巌、枕山、湖山、画家では老山、柳圃、晴湖等その他各方面の一流の近代名家の揮毫(きごう)があって、一枚々々随意のものを剥(は)がして売っていた...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...ぼんつく蓼勝手口の小さな圃に...
薄田泣菫 「独楽園」
...下の谷中道の両側はずっと田圃(たんぼ)になっており...
高村光太郎 「美術学校時代」
...」月のない闇黒(あんこく)の一夜、湖心の波、ひたひたと舟の横腹を舐(な)めて、深さ、さあ五百ひろはねえずらよ、とかこの子の無心の答えに打たれ、われと、それから女、凝然(ぎょうぜん)の恐怖、地獄の底の細き呼び声さえ、聞えて来るような心地、死ぬることさえ忘却し果てた、あの夜の寒い北風が、この一葉のハガキの隅からひょうひょう吹きすさびて、これだから家へかえりたくないのだ、三界に家なき荒涼の心もてあまして、ふらふら外出、電車の線路ふみ越えて、野原を行き、田圃を行き、やがて、私のまだ見ぬ美しき町へ行きついた...
太宰治 「二十世紀旗手」
...午後の日の暑く照る田圃道(たんぼみち)を静かに動いて行つた...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...向うに野川のうねうねと田圃の中を流れてゐるのが見え...
田山花袋 「丘の上の家」
...洛北の圃の畝に腰をおろして夕日のやすらかにいり行くのを見遣る時...
土田杏村 「風は草木にささやいた」
...五十一お島が楽(たのし)みにして世話をしていた植木畠や花圃(はなばた)の床に...
徳田秋声 「あらくれ」
...裏は淋しい田圃に...
徳田秋声 「黴」
...田圃の中には島原の灯(ひ)が靄(もや)を赤く焼いている...
中里介山 「大菩薩峠」
...絶望のあまり灘田圃へ身を投げに迷い込むとも思われない...
中里介山 「大菩薩峠」
...田圃の勝床を覗いてみると妹のお粂は浮かぬ顔をして客を断っておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...三津五郎の寮と田圃ひとつへだてた背中あわせ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...犬猫の皮を剥いで暮している浅草田圃(あさくさたんぼ)の皮剥餌取に...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...黄丕烈(蕘圃)といふ清代の學者の手刻した「蕘圃手校」といふ印がある...
堀辰雄 「我思古人」
...柚園の園はもとは屋敷附属の圃場(ほじょう)のことだが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...田圃(たんぼ)と沼であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...道は田圃の中にあつて...
若山牧水 「樹木とその葉」
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