...矛盾混乱なにひとつ思うようにならず、つねに無限の懊悩に苦しみながらも、どうにか精神的の死滅をまぬかれて、なお奮闘(ふんとう)の勇を食い得るのは、強烈な嗜好が、他より何物にも犯されない心苑(しんえん)を闢(ひら)いて、いささかながら自己の天地がそこにあるからであるとみておいてもらいたい...
伊藤左千夫 「去年」
...酒は各人の単なる嗜好に過ぎない...
伊藤野枝 「「婦人解放の悲劇」自序」
...男らしいあらゆるスポーツを嗜んだ...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...色に対する彼等の感覚が自然とあゝ云う嗜好を生んだものと見る外はない...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...しかし彼女はもともと酒を嗜(たしな)む傾向のない女だったので...
谷崎潤一郎 「途上」
...嗜虐的な傾向は極めて少なかったからである...
外村繁 「澪標」
...年下の女の児にひどく悪性の嗜虐(しぎゃく)症的な悪戯(いたずら)をして...
中島敦 「環礁」
...御米(およね)は又(また)酸(す)いものを嗜(たし)む人(ひと)となつた...
夏目漱石 「門」
...その嗜(たしな)みと辛抱とは...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...まだ朝の嗜(たしな)みの化粧もしておりません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...武士の嗜(たしな)みとしてあるまじきことで...
久生十蘭 「鈴木主水」
...嗜みを保っていたことである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...遊芸を嗜(たしな)む者あり...
福澤諭吉 「人生の楽事」
...嗜好物は、(デーモンス・ネクター)と称ばるゝ酒なり...
牧野信一 「鬼の門」
...置物の工合なんど高雅に見えて一入(ひとしお)の趣きあるは書生上りの中川が嗜(たしなみ)に非(あら)ず...
村井弦斎 「食道楽」
...最も栄養価のあるものでもその人の嗜好に合わぬものはしたがって旨い感じをいたしませんから...
村井政善 「蕎麦の味と食い方問題」
...誰もの嗜好(しこう)に投じると見える...
柳宗悦 「苗代川の黒物」
...交響楽によって嗜色人の踊がはじまると...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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