...縛られた耶蘇(イエス)がピラトの前に引出されて罪に定められ、棘(いばら)の冕(かんむり)を冠せられ、其面に唾せられ、雨の樣な嘲笑を浴(あ)びて、遂にゴルゴダの刑場に、二人の盜人と相並んで死に就くまでの悲壯を盡した詩――『耶蘇(イエス)また大聲に呼はりて息絶えたり...
石川啄木 「鳥影」
...綿栓をこしらえ唾(つば)でしめして鼻孔に挿した...
海野十三 「空襲警報」
...小さな穴を通して唾を飛ばし合う...
大杉栄 「獄中記」
...口に唾液(つばき)がたまつても呑み込むこともならず...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...人に唾でも吐きかけそうな表情をした...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...そのとき困りはてた東桂さんが指に唾(つば)をつけて一枚一枚本をくつては薬箱から薬をしやくひだす様子は私を育ててくれた剽軽な伯母さんの真にせまつた身ぶりにのこつていつまでも厭(あ)かれることのない笑ひぐさとなつた...
中勘助 「銀の匙」
...皆んな固唾(かたず)を呑みました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――」良助はさう言つてゴクリと固唾(かたづ)を呑みました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物を言はないお桃の方が餘つぽど實(じつ)があるぜ」「――」「打ち殺してもやり度いほど幾太郎に未練があるんだ」「すると?」ガラツ八はゴクリと固唾(かたづ)を呑みました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...これから寝ようとしている内儀さんの首を射た」「――」聴く人は固唾(かたず)を呑むばかり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...悪魔の野郎に唾をひつかけられにやならんから...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...虫唾が走るわ――」彼女が厭がつたばかりでなく彼は...
牧野信一 「小川の流れ」
...そこ放しやあがれ」と両手の掌に軽く唾(つば)をふきかけて...
三木竹二 「いがみの権太」
...ごくと唾(つ)を呑む小心な体の硬(こわ)さにもなりながら――「幕命でござれば」と言って...
吉川英治 「私本太平記」
...「いいのですか?」やぐら武者のひとり恩智満一(おんちみつかず)が唾を呑むような声で...
吉川英治 「私本太平記」
...たがいに手に唾(つば)して...
吉川英治 「新書太閤記」
...智深は彼の「……べっ」と唾(つば)を吐いた唇鳴(くちな)らしが気にくわなかった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...蔑(さげす)みの眼と――嘲罵(ちょうば)の唾(つば)とが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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