...静かなと言つてもたゞ静かだけでも力のないものには余り興味がない...
芥川龍之介 「愛読書の印象」
...もっともこの声と云うのも、何と云っているのだか、言葉は皆目(かいもく)わからないのですが、とにかく勢いの好い泰さんの声とは正反対に、鼻へかかった、力のない、喘(あえ)ぐような、まだるい声が、ちょうど陰と日向(ひなた)とのように泰さんの饒舌(しゃべ)って行く間を縫って、受話器の底へ流れこむのです...
芥川龍之介 「妖婆」
...單に力――心理的の力である物理的社會的の效果を惹起す可き力ではない――力のない思想...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...実力のない国は戦争には負けるし...
大隈重信 「青年の天下」
...力のない咳が彼の耳をコホンコホンと打った...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...しかし、それは、呟きのように低く、力のない声で、かすかに、唇が動いた程度にすぎなかった...
火野葦平 「花と龍」
...力のない足どりで...
火野葦平 「花と龍」
...女の子は定(きま)ったようにれいの力のない声で...
室生犀星 「音楽時計」
...重くて産む力のない素材のようなもので...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...弱々しく力のない享楽もある...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どんな力のない人といえども...
柳宗悦 「益子の絵土瓶」
...病人らしい力のない咳(せき)や...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...神通力のない釘勘でも万太郎でもが...
吉川英治 「江戸三国志」
...あらぬ方へ力のない目をみはった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...力のない涙の捕縄(とりなわ)...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...力のない眼をあげた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...力のない、人影が、そこの門を、ふらふらと、出て来たと思うと、自分には声もかけず、魂のぬけ殻みたいに、蹌踉(そうろう)として、歩み去って行くので、彼は、オヤ? と怪訝(いぶか)りながら闇を透(す)かして、「――老先生、老先生...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...それは既に発見られたのです、だから、その化学式を満足させるようなものを合成すればいい訳ですが、ところが化学式には「弾力」というものが表わせません、ゴムの生命ともいっていい弾力が表わせないんです、それが合成して目出度(めでた)く出来上ったものは、一見ゴムみたいなものでありながら、弾力のない、くだらぬものでしかなかった、という、まあそんな訳ですが、失礼ですが、あなたの場合、音譜に「音色(ねいろ)」というものが表わせるでしょうか「音色」という弾力を、マキシマムに発揮しなければ、その流行歌は人の心を、芯底から搏(う)つものとは思われませんね...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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