...「くれたもんを取り返しに来たの」「あまりだますから、おこったんだろう?」「だまされるもんが悪いのよ」「そう?」妻は自分の夫もだまされているのだと思ってきまりが悪くなったが、すぐ気を変えて、冷かし半分に、「可哀そうに、貰ったと思ったら、おお損(ぞん)をした、わ、ね」「ほんとに」と、吉弥も笑って、「指輪に拵(こさ)えてやろうと思ってたら、取り返されてしまった」こういう話をしているうち、吉弥のお袋が一人の女をつれてやって来た...
岩野泡鳴 「耽溺」
...水仕舞する手が冷たい...
種田山頭火 「其中日記」
...通りかかった他の娘たちが冷やかした...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...冷かな風が流れ込んできた...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...民衆はまだ忍従しながら貧窮の中に冷静を保っている...
豊島与志雄 「異邦人の意欲」
...冷笑気分が豊かです...
中里介山 「大菩薩峠」
...途端に冷たい氷滴となつて凍りつくやうな・石とならうと私は思つた...
中島敦 「かめれおん日記」
...肉食でなければ胡地の寒冷に堪(た)えるだけの精力を貯(たくわ)えることができない...
中島敦 「李陵」
...「百合子さん、指輪早く売りなさいよ、そして、一日、二人で日光へでも行かない?」このごろ、ひどく黒つぽい服装になつたサトミが、冷たげな、百合子のオパルの石を見るたびに、百合子にせびつた...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...藤原のほとんど冷酷な...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...相手が純真すぎたというところかな」常子は冷やかな微笑をうかべながら...
久生十蘭 「蝶の絵」
...冷たいではないか...
柳宗悦 「工藝の道」
...穏やかではあるが冷笑と皮肉に満ちたその顔が思いだされた...
山本周五郎 「花も刀も」
...ニヤリと一つ冷笑をするのが...
夢野久作 「縊死体」
...身体(からだ)は氷のように冷たくなって...
夢野久作 「白髪小僧」
...寒いのか、冷いのか、何の感覺もなくなつて、無心で闇と水とを見つめてゐた...
吉江喬松 「山岳美觀」
...靴先の引つかかるやうな冷たいリノリウムにニス塗の卓しか出してないが...
吉川英治 「折々の記」
...自分にたいする大塔ノ宮があくまで抱擁の寛度(かんど)もない冷ややかな“他人”であることは夙(つと)に承知だが...
吉川英治 「私本太平記」
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