...それで長逗留との御触れ出しは、半田屋九兵衛、失礼ながら気に入りました」「それでは機嫌よく泊めてくれるか」「ところがその何分にもはなはだ以て、その、恐縮の次第で御座りまするが、どうかハヤ御勘弁を……いえこれは御客人が物の道理の好くお了解(わかり)の方と存じまして、ひたすら御憐憫(ごれんびん)を願う次第で御座りまするが、実は手前方、こうして大きく店張りは致し居りますれど、内実は火の車...
江見水蔭 「備前天一坊」
...私のそんな親切なもてなしも、内実は、犬に対する愛情からではなく、犬に対する先天的な憎悪と恐怖から発した老獪(ろうかい)な駈け引きにすぎないのであるが、けれども私のおかげで、このポチは、毛並もととのい、どうやら一人まえの男の犬に成長することを得たのではないか...
太宰治 「畜犬談」
...しかし内実は彼の虚栄心を無意識のうちに支へてゐるものだつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...内実はこんな悪事を働いている人間ではなかったか知ら...
中里介山 「大菩薩峠」
...内実は穢多(えた)のために生捕られたという評判よ」「それも裏の裏で...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪ちゃんは、久助が万事よくしてくれたことを表面は喜びましたが、内実は、また一当惑と思います...
中里介山 「大菩薩峠」
...あれが内実はお手がついたとかつかんとかで親里帰り...
中里介山 「大菩薩峠」
...内実は百姓の言い分が通ってしまったのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...内実は母の希望通にしてやるのさ...
夏目漱石 「虞美人草」
...一面、洒脱で、理財にも長(た)け、落合にある病院などもうまくやり、理知と世才に事欠くように見えなかったが、内実は、悪念のさかんな、妬忌(とき)と復讐の念の強い、妙に削(そ)げた陰鬱な性情らしく、新聞社へ出かけて行って安部の讒訴をしたり、なんとかいう婦人雑誌に、「自殺した妻を想う」という公開状めいたものを寄稿し、安部が石黒の細君を誘惑したとしかとれないようないいまわしをするので、世間では、なにも知らずに安部を悪くいうようになった...
久生十蘭 「予言」
...かければかけただけのことはあるんだろう? ……奉仕だなんていうが、内実は、この家をハークネスの名義にして、ロッジ式の、モーテルにするんだそうだな...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...その内実は禄を重んずるの種族が禄制を適宜(てきぎ)にしたるが故(ゆえ)に...
福沢諭吉 「旧藩情」
...戸外の用も内実は好む所にあらざれども...
福沢諭吉 「教育の事」
...その内実は徳川政府がその幕下(ばっか)たる二...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...内実は何うであらうと...
牧野信一 「女優」
...内実は感傷家でしかないことが多い...
三木清 「人生論ノート」
...内実は互いに深刻な敵意を抱き合っている仇讐(かたき)同志である...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...表面忠君愛国の美名に仮装されていながら内実は...
夢野久作 「路傍の木乃伊」
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