...渠はどう自分の身を處していいか、ちよツと度を失つた時、加集は勝ち味な聲で、「兎も角、僕が一時あの女を預かるのが順當ぢや!」「預かれるなら、預かつて見ろ!」まだ實際の好意があるのをかの女にも分らせる爲めに、「君が預かるのは、どうせおもちやにする爲めだらう――?」「うんにや――」加集は義雄のこはい目を避けて、かの女の方に向き、「僕だつて、男ぢや――君ぐらゐの世話はする!」「これまでの僕ほどでは、もう、いかないよ――今のさし迫つた問題は、あの女を生かすか殺すかの問題だ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...歸ることは歸るとしても兎も角も其處らを少し歩いてから歸つても遲くはないだらうとSがいふので...
寺田寅彦 「伊香保」
...兎も角も比較的長期の内閣の首相として今日まで無事なるを得たり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...兎も角文芸自体のことよりも...
中原中也 「我が詩観」
...兎も角、異常な気合に女中達が展望台へ駆け上った時は、美しい夫人の姿も、それを護る騎士のように、一寸(ちょっと)も傍を離れない千束守の姿も其処(そこ)には無かったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...それは兎も角として...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...兎も角も手當をさせて腰繩を打つてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「心配することはないよ、下手人は今日明日中に判るだらうから」「本當でせうか、親分さん」「判つたところで、何うもならないかも知れないが、兎も角、落着いて居るがいゝ――さういつたところで、娘二人に死なれちや、落着いても居られまいが」平次の眼には、深い哀憐(あいれん)が動きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角やつて見るつもりでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角中を見よう」平次はもうその土藏の前に立つて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「何は兎も角、その酒を飲まなかったお庭掃きの老人に逢いましょう」と、平次...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――兎も角お前が若い女一人を拾つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も歸りは多勢の方と一緒になりましたが」「兎も角...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角半日もあの紫御殿の穴藏から三階までウロ/\して居たんですから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それは兎も角、平次は相變らず粉煙草をせゝつて、三世相大雜書(さんぜさうだいざつしよ)を讀んで居りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...山ッ気のほうは兎も角として...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...兎も角部分的には解つてゐるのだが...
牧野信一 「鱗雲」
...周囲の知己から兎も角讚められたことだ...
牧野信一 「予が本年発表せる創作に就いて」
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