...兄弟の誰にも似ず...
有島武郎 「お末の死」
...よそに嫁(とつ)いで居る姉が、私の一度ならず二度三度の醜態のために、その嫁いで居る家のものたちに顔むけができずに夜々、泣いて私をうらんでいるということや、私の生みの老母が、私あるがために、亡父の跡を嗣(つ)いで居る私の長兄に対して、ことごとく面目を失い、針のむしろに坐った思いで居るということや、また、私の長兄は、私あるがために、くにの名誉職を辞したとか、辞そうとしたとか、とにかく、二十数人の肉親すべて、私があたりまえの男に立ちかえって呉れるよう神かけて祈って居るというふうの噂話を、仄聞(そくぶん)することがあるのである...
太宰治 「虚構の春」
...車が病院の前で停った時にも、彼女は降りて行く妙子をもう一度呼び止めて、こいさんとしては附き添っていたい場合であろうが、見たところ、病人も、親兄弟たちも、あたし等(ら)に遠慮しているのかどうか、そんなにこいさんを必要としていないようでもあるから、巧(うま)く脱けて来られたら来るように、―――そう云ってもその時の事情に依(よ)ることだけれども、何卒くれぐれも、あたし等の最も恐れるのは、病人とこいさんとの間に許嫁(いいなずけ)の関係でもあったかの如(ごと)く世間から誤解されることにあるのだと云うことを、どんな場合にも忘れないでくれるように、―――蒔岡(まきおか)の家名と云うこと、取り分け雪子ちゃんへの影響と云うことを、念頭に置いて行動してくれるように、―――と、少しくど過ぎるくらいに云った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...五人の兄妹達に超(こ)えて唯(ひと)りこの児(こ)を寵愛(ちょうあい)しけるに...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...時にはいつもそのゐるのを邪魔にすら思つたことのあるその兄が...
田山録弥 「花束」
...兄は彼にモーヴのいいぶどう酒を飲ませました...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...御兄さんですもの...
夏目漱石 「野分」
...「そりゃ良人(うち)だって兄さんに頼まれて...
夏目漱石 「明暗」
...「神田の八五郎兄哥は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...せめては兄らしい言葉を言つたことすらもない...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...何故お前は一言でもそのことを兄にいってはくれなかったか...
浜尾四郎 「死者の権利」
...又猩々だとか蟒だとか云はれる大酒飮みに似合はぬ親孝行兄弟おもひで...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...個人として女の御兄弟に親身のお世話をなされ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...元祖が私の長兄の鼎であるから...
柳田国男 「故郷七十年」
...兄五郎右衛門の素質はまったく反対である...
吉川英治 「剣の四君子」
...長兄は諸葛瑾(しょかつきん)と申し...
吉川英治 「三国志」
...客の従兄弟を罵倒した...
吉川英治 「三国志」
...その兄をさえ凌(しの)ぐ増上慢になりだしていた...
吉川英治 「私本太平記」
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