...事を分けてお話も申上げ...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...ここにありたけの金子(きんす)をそちたちに遣(つか)わすゆえ見のがせと事を分けて申すに...
中里介山 「大菩薩峠」
...正直な見物も、ちっとの間は迷わされる――よい批評家というものがあって、公平に、親切に、厳格に、事を分けて、役者を叱り、素人(しろうと)を導いてやればいいのだが、今はその批評家というのが無く、ただ無いだけならいいが、その批評家というやつがグルになって、碌(ろく)でもないものをかつぐのだから、そこで吾々の腕力が必要になる...
中里介山 「大菩薩峠」
...嘘をつけ……持っているだけ出さないと為めにならぬぞ、と、斯様(かよう)に申しますものですから、私が事を分けて、いいえ、ございませぬ、門付(かどづけ)でいただいた鳥目(ちょうもく)が僅かございましたのを、それで、甲府の町の外(はず)れで饂飩(うどん)を一杯いただいて、今は全く持合せがございませぬ……こう申しますと、その人がどこまでも、それは嘘だ、眼も見えないくせに、一人で旅をして歩くからには、必ずどこぞに路用の金を隠し持っているに相違ないと、斯様に私を責めまする故に、私はそれならば、私が、今ここで裸になってごらんに入れましょう、古人は曾無一善(ぞうむいちぜん)の裸の身と申しました、裸になった私の身体(からだ)をごらんになった上、たとえそこに一銭の金でも蓄えてありましたならば、私は生命(いのち)を取られても苦しいとは申しませぬ……こう言いまして、私は琵琶を下へ置いて、上なる衣(ころも)から悉皆(しっかい)脱ぎ去って、裸になって、その方に見せました……そうしますと、うむなるほど、無いものは無いに違いない、貴様はなかなか気の利(き)いた坊主だ、本来はこちらから身ぐるみ裸にしてやるべきものを、その手数をかけずに自分から進んで裸になったのは可愛ゆい奴だ、銭がなければ、二束三文にもなるまいが、この着物だけは持って行く……と申しまして、私の上から下までの着物――と申しましても襦袢(じゅばん)ともに僅かに三枚なのでございますが、その三枚を持って行こうとしますから、私が、もしもしとその方を呼び留め申しました、呼びとめて申しますのには、あなたがそれをお持去りになるのは仕方がございませんが、仕方があってもなくても、この私はあなたのなさることは、お留め申すだけの力は一切ございませんが、どうかお情けにはそのうちの上着の一枚だけをお返し下さいますまいか、せめてそれだけでもございませんと、これから一足も進むことができないのでございます……と、懇(ねんご)ろに頼みましたところが、その方はそれを一向お聞き入れ下さらず、馬鹿め……着物がなくっても足があるだろう、足があって一足も歩けないということがあるかと申されました、よろしうございます、それではお持ち下さいませ……私が悪うございました、世間には一枚の着物さえ持たない人もあるのに、これまで三枚の着物を重ねていた私は奢(おご)っておりました、その罪で、あなたのために衣をはがれるのは、罪の当然の酬(むく)いでございます、私から着物をお取りになろうとするあなたこそ、私以上に困っておいでになればこそでございます、求められずとも、私から脱いで差上げなければならなかったのを、たとえ一枚でも欲しいと申した私の心が恥かしうございます……とこう申しますと、その人が、いきなり私を足蹴(あしげ)に致しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...この人たちに事を分けて言い聞かしてみようというほどの気にもなれず...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼女と私とそれに私たちの食事を分けてやつたソフィイもいれて...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...事を分けて返した物は返した物でそっくり持って来てから話しでも有れば相見互な事だから用立てても上げ様ものをさ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...お関が一々事を分けて弁明して歩く事を十人が十人期待して居たのだけれ共...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...その役所の仕事を分けてうけもつ人がきまります...
文部省 「あたらしい憲法のはなし」
...裏の後家さんから内儀さん同様賃仕事を分けてもらっては暇ある毎に精を出している...
矢田津世子 「神楽坂」
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