...それ等を思い廻らしてそこに一抹の光明を発見して...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...空に一抹の雲もなかつた...
太宰治 「道化の華」
...天の一方には弦月(げんげつ)が雲間から寒い光を投げて直下の海面に一抹の真珠光を漾(ただよ)わしていた...
寺田寅彦 「札幌まで」
...幸福な彼の晩年にも一抹の黒い影がさした...
寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
...なにか夢を追い求める一抹の気が...
豊島与志雄 「高尾ざんげ」
...なにか無理なところと一抹の曇りとを彼に見出してはいたが...
豊島与志雄 「三木清を憶う」
...空の藍はようやく一抹の灰濁をおびはじめ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...さり気ないうちに漂う一抹の怪奇さがあります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...買収云云のことがまだ彼等の念頭に一抹の疑団を残して居るのであつた...
平出修 「計画」
...その時心を走つた一抹の寂しさがあつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それがかへつてかの女のまはりに一抹の淋しさを漂はせてゐたことはゐた...
堀辰雄 「ふるさとびと」
...一抹の誇りも持たない者なのです...
牧野信一 「鏡地獄」
...一抹の揺ぎもなく...
牧野信一 「珠玉の如き」
...省みて民謡を有たない生活に一抹の淋(さび)しさを思わないわけにはゆきませぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...そうおもう一抹の不安がぼくにはあったのである...
山之口貘 「夏向きの一夜」
...どう仕様もない一抹の悲しみの露となって滴り...
横光利一 「旅愁」
...――と、小次郎には、どうしても、疑いきれないで――しかしまた、一抹の不安も、拭いきれなかった...
吉川英治 「平の将門」
...暮れの遲い空には尚ほ一抹の微光が一片二片のありとも見えぬ薄雲のなかに美しう宿つて居る...
若山牧水 「一家」
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