...その姿に似ず、ゆるく、色めかしく、柔かな、背負(しょい)あげの紗綾形絞(さやがたしぼ)りの淡紅色(ときいろ)が、ものの打解けたようで可懐(なつか)しい...
泉鏡花 「薄紅梅」
...あらゆるくさつた水たまりやどぶを干しかわかし...
鈴木三重吉 「パナマ運河を開いた話」
...ゆるく開きかけている赤い蕾(つぼみ)を選んだ...
太宰治 「葉」
...映画用微笑とともにゆるくドライヴして行った...
谷譲次 「踊る地平線」
...とそんなことが、ひどく早口になったり、ゆるくなったり、ぽつりと途切れたりして、岸本の耳に伝わってくるのだった...
豊島与志雄 「田舎者」
...話し手といっしょにゆるく歩(ほ)を運ばして行く...
夏目漱石 「野分」
...只弓を擦(す)る右の手が糸に沿うてゆるく揺(うご)く...
夏目漱石 「幻影の盾」
...木の間ちょうちょうゆるく吹かれゆく繁野君のはいくです...
林芙美子 「お父さん」
...流は奥へ入るほど、ゆるくなって、水がよどんで来たが、谷はますます狭くなって、やっと『最上』が岩とすれすれに通り抜けることが出来るだけの幅しかない...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...鉄橋の上を行く汽車よりはもっとゆるく...
宮沢賢治 「イギリス海岸」
...夢からさめたように)……え?……なんだ?……どうしたんだ?……どうしたんだよ?佐山 ウー……(たよりないアカゴが泣くように、ゆるく、単調に、泣いている)四穴の中の、入口に近い場所...
三好十郎 「胎内」
...物にあって一歩をゆるくすることもなさず...
森鴎外 「空車」
...そう云ったんですから……ゆるくなったんで礼儀も何も知らない土百姓みたいな運転手が...
夢野久作 「衝突心理」
......
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...抑揚はゆるく声は澄んで...
吉川英治 「三国志」
...揺韻(よういん)をゆるくひいて初甲(しょかん)の音(ね)にかえる...
吉川英治 「神州天馬侠」
...時折、伽藍の近くから、夜籠(よごも)りの遍路(へんろ)の鈴(りん)が、ゆるく、眠たげに……...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...……郁次郎もこのぶんでは、道中つつがなく、帰府の旅をいそいでおるじゃろう」と空を仰いでも、親心に、やがて長崎から帰るわが子のことを思いながら、歩調ゆるく、養生所の方へ行ってしまった...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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