...その東の方の隅に凹字形をした石鎚山が奥深く控へて、その時々の気象によつて或は黒く、或はほのかに、或は紫に、或は真白にこちらをのぞいてゐる姿は、「お山行」と共に長い親しみ深い威容であつた...
安倍能成 「初旅の残像」
...それがほのかに読まれる――紙が樹の隈(くま)を分けた月の影なら...
泉鏡花 「絵本の春」
...見失ひし秋の昼蚊のあとほのか大正七年菖蒲(しょうぶ)剪(き)るや遠く浮きたる葉一つ大正八年 婦人俳句会の連中...
高浜虚子 「五百句」
...雨後の青空にかかっていたひとすじのほのかな虹を覚えているだけである...
太宰治 「玩具」
...ほのかに伽羅の香がする...
種田山頭火 「其中日記」
...なほほのかに微(かす)かなりき...
綱島梁川 「予が見神の実験」
...ほのかに感じたる武男が母は...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ほのかな香(にお)いを一面にただよわせておりました...
夢野久作 「ルルとミミ」
...ランタンほのかなそりだから...
新美南吉 「そりとランターン」
...ほのかな微笑を浮かべて続けました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...ほのかな乳房のふくらみと不思議に魅力的な對照を見せて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...我々の立っている高台をまだほのかに照らしている落陽の名残の光のなかに...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「黄金虫」
...ほのかなランプの下で赤白ワインがはじけた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...ほのかな緑色が尖端の方ではそれこそ見事な濃緑色に染上げられてゐる...
三好達治 「柘榴の花」
...ほのかに立ち昇る佳(よ)き香(にほひ)の音楽...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...ボウと白光(はっこう)の花叢(はなむら)がほのかである...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...また少年期の初恋みたいなものをほのかに抱いていた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...声とてもほのかなものではあるが...
若山牧水 「秋草と虫の音」
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